りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

夜の来訪者

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

★★★★★

息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し―何度も上演され、映画化された、イギリスの劇作家プリーストリー(1894‐1984)の代表作。舞台は裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく…。

素晴らしい。 戯曲を読むのはほんとうに久し振りだが、読み始めたら世界に引き込まれて夢中で読んでしまった。

ある夜、警部を名乗る男が訪れて、ある女性が自殺したことを告げ、一家全員がそのことに関わっていたことを暴いていく。 出来事というのはえてして急に起きる。たいして考える間もなくその場の怒りや保身から対応してしまうことも多い。そのせいで重大な何かが起きるなどということは考えないものだ。

事件に対して激しく動揺した後で、またもの凄い勢いで立ち直っていく様がものすごくリアルだ。 そしてラストが実に鮮やか。凄い。