りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会 調布市

5/15(水)、調布市グリーンホールで行われた柳家小三治独演会に行ってきた。
追っかけかよ!というぐらいな勢いで小三治師匠を見に行っている。
とはいえ、喬太郎師匠や鯉昇師匠と比べると会の数自体が少ないので、多少遠くてもできるだけ行こうというスタンス。

・〆治「お菊の皿
小三治「天災」
〜仲入り〜
小三治「転宅」

今回は(も?)席が悪くてねぇ…。
S席を申し込んだつもりだったのが何か間違えてしまったらしくA席になってしまって涙の二階席。
でも二階席でも前の方だったからまだよかったかな。
練馬の一門会に比べれば全然ましな席だったから良しとしよう。

開口一番は〆治師匠の「お菊の皿」。
この噺大好き!
このばかばかしさ。最高だ。笑った笑った。

そして出てきた小三治師匠。
もう何回目かだけど、お囃子が聞こえてくるともううれしくてうれしくて顔がにやけてしまう。

「最近私がなぜ落ち込んでいるかと申しますと…」
小三治師匠が電子手帳を使っていることは前に映画で見て知っていたのだが、最近その手帳が突然壊れたらしい。
落語会でやった噺やその時のお客が利口だったかそうでもなかったか、それぞれの噺のポイント、また句会で印象に残った俳句など、あらゆる情報が詰まっていた、まさに宝。それが一瞬にしてぽわっと壊れてしまったと。
バックアップはとってなかったの?!!と思っていると、バックアップね、ええ、これがですね、うっかりしていて1年ぐらいとってなかったんです。
だから1年前の状態には復元できたんですけどね。でもこの1年分のデータが全部なくなっちゃった。
亡くなった人のアドレスは削除したりね、新しく知り合った人のアドレスを登録したりね、そういうのも全部なくなっちゃった。
「ああ、あれも消えちゃったのか」「これもないのか」と見るたびにがっかりしちゃう。

あーーーわかるわかるーー。
なにせ私もこの間スマホを水没させたばっかり。
仕方なくスマホにする前の携帯から電話帳は復元させたけど、もう付き合いのない人のデータがどっさりあって、最近知り合った人のデータはなくて、なんだかもうがっかり…。
私の場合はそれ以外はたいしたデータは入ってなかったからいいけど、小三治師匠のデータは…どうにかならないのか!!
なんとかしてさしあげたい!!(できないけど)

俳句の話の中で、第一回目の句会のテーマが煮こごりで…みなさんわかりますか煮こごり。ええとゼラチンの中に魚がこんなふうに入っていて、っていうこの「こんなふうに」のジェスチャーがおかしくておかしくてたまらない。
自分は面白いことは言えないんですよ、とおっしゃる小三治師匠だけど、もう普通に淡々としてる話が本当に面白い。
「扇橋」って名前が出てきただけでもううれしくなっちゃう。

そして第一席目が「天災」。
自分のおかあさんを「ばばあ」と呼ぶ八さんのすっとぼけぶりが楽しい。
「あれはお前のおふくろだろう」
「違いますよ。変な言いがかりはよしてもらいてぇな」
「お前のおふくろじゃなかったらかみさんのおふくろさんか?」
「とんでもねぇ」
「じゃなんだ?」
「なんでしょう?ずいぶん古くからいますよ、あのばばあは」

ご隠居とのやりとりの後は、心学の先生とのやりとりがあって、そこで覚えた「てんせぇ(天災)」を使ってやろうと、熊五郎のもとへ。
派手な動きなど一切ない噺なのになんでこんなにおかしいのか。
気にいらないことがあると親のことも蹴っちゃうような八五郎だけど、小三治師匠がやるとかわいくて憎めない。

仲入りの後は、まくらで「どろぼう」の話になったので、お?なんだっけこれなんだっけ?と思っていると、「転宅」。

どろぼうがお菊さんにおだてられてどんどんその気になるのがかわいい。
お金を巻き上げられて「浮気ししようって言うんじゃないの。承知しないよ」ってつねられると、一瞬びっくりした顔をしたあとに、「よせやい」ってでれ〜っとなる。
これがもうおかしくておかしくて。

というわけで、調布まで行った甲斐があった。
小三治師匠らしい噺が聞けて大満足。

どろぼうつながりで、小三治師匠の「出来心」