りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

浅草演芸ホール 5月上席 昼の部・夜の部

5/2(木)、浅草演芸ホール5月上席(GW特別興行)に行ってきた。
目当てはトリの小三治師匠。
独演会では広いホールの後ろの方でしか見られないので、なんとしても寄席で!近くで!見たかったのである。
なにせ競争には弱いもので、確実にいい席で見るためにはどうしたらいいかと考えて、朝イチから入って見ることにしたのである。
浅草演芸ホールは昼夜入れ替えなし。開場と同時に入ってラストまでいようという作戦。

もちろん小三治師匠以外にも見たい噺家さんはいっぱい。
見たことがあって大好きな一之輔師匠、白鳥師匠、三三師匠、権太楼師匠も楽しみだし、見てみたかった菊之丞師匠、小燕枝師匠、はん治師匠、志ん輔師匠も楽しみ!
というわけで朝から行ってまいりました。

10時30分頃に着くとすでに並んでいる人がいて行列ができている。
寄席の場合、行列ができてると早めに開場したりするけどそれはないのねと思っていると、なんでも早朝寄席をやっていてそれが少し押しているらしい。
係の人が「前の方が退場し次第すぐに開場いたします」と説明してくれて、こういうところが寄席のいいところだなーなんて思う。
後から一之輔師匠の学校寄席だったことがわかってちょっとほほえましい気持ちに。

ようやく開場して、ねらっていた席に座れてほっと一安心。
さあ、今日はここで一日過ごさせていただきまっせ〜。

【昼の部】
・彦丸「たらちね」
・和楽社中「大神楽
・一之輔「手紙無筆」
・九蔵「漫談」
・丸山おさむ「声帯模写
・玉之輔「マキシムド呑兵衛」
・春輔「権兵衛狸」&かっぽれ
・にゃん子金魚「漫才」
正雀「開帳の雪隠」
・さん吉「漫談」
あした順子「漫才」
・歌武蔵「漫談」
・小燕枝「長短」
・ダーク宏和「マジック」
・三平「漫談」
馬風「漫談」
・小円歌「三味線漫談」
・菊之丞「町内の若い衆」
正蔵「漫談+味噌豆」
木久蔵「後生鰻」
・彦いち「漫談」
林家きく姫「漫談」
・猫八「ものまね」
・木久扇「漫談」

笑点にはまったく興味がないのでどちらかというと笑点メンバーは避けてしまう(昇太師匠は好きだけど)。
昼の席のトリが木久扇師匠だったのと、GWで観光客が多いということもあってか、昼の部は落語少な目。 普段だったらちょっと「えええ?」と思ったかもしれないけど、夜までたっぷり見るつもりなので、たまにはこういうのもいいかな。

・一之輔師匠の「手紙無筆」。
字が読めない八さんが親方のところに手紙を持ってきて読んでくれと言う。
親方は字が読めない八さんのことをさんざんバカにするのだが、実は自分も字が読めない。
読めないと今さら言えない親方は八さんにさぐりを入れながら適当な内容をでっちあげる。
こういう噺は一之輔師匠にぴったりだなぁ。
読めなくて困っていながらも適当に話を作りながら態度だけは大きい親方がおかしくておかしくて大笑い。

・玉之輔師匠の「マキシムド呑兵衛」。
これは白鳥師匠の新作落語なのだが、玉之輔師匠の「マキシムド呑兵衛」は動画で見たことがあって面白かったのだが、まくらからなにからなにまでその時と全く同じだった…!
テッパンネタなんだろうけど、全く同じって!とちょっと驚き。

正雀師匠の「開帳の雪隠」。
ご開帳を見に来る参拝客がただでトイレを貸してくれと大勢やってくるのに業を煮やした老夫婦がそうだトイレ貸し賃を取ろうと思いつく。
次々借りにやってくる人がいてほくほくしていると、ある日を境にぱったり客が来なくなる。
なんでかというと、もっときれいで戸のついたトイレを近くに建てたやつがいる。
するとおじいさんが「私はちょっと出かけてくるから店番を頼む」とおばあさんに行って出かけて行った。 その後急に忙しくなって…。

初めて聞いた噺で、正雀師匠のたたずまいが美しいので人情噺なのか?と思いながら聞いていたら、どこからどこまでもバカバカしい噺だった。楽しい。

・小燕枝師匠の「長短」。
昼の部ではこちらが一番良かった。気の長い人と気の短い人が話をするだけなのになんでこんなに面白いのか。
小燕枝師匠の気の長い人がもうとにかくかわいい。ちょっと困ったような顔をしてゆっくり考える姿を見ているだけで、なんだかおかしくて幸せな気持ちになってくる。
わーーなにこれー。なんかすごく好きだーー。他の噺も聞いてみたい!

・菊之丞師匠の「町内の若い衆」。
菊之丞師匠の「町内の若い衆」が大好きなので、見られてうれしい!

親方の奥さんのしっかり者ぶりに感化された熊さん。
それに引き替えうちの女房ときたら…。熊さんの顔を見るなり「どこをのたくってきたんだい?」。ああいえばこう言うでおっかないったらない。
菊之丞師匠のおかみさんはえばってるんだけど色っぽくてかわいい。

それにしても持ち時間が短いというのもあるのだろうが、昼の部は漫談が多かったなぁ。一人二人ならいいけど、何人も続くともうラーメンと笑点の話はええわ!って感じ。林家一門はもう見なくてもいいや…。(ぼそっ)

【夜の部】
・半輔「初天神
・禽太夫「元犬」
・夢葉「マジック」
・福治「堀之内」
・市馬「雑排」
・遊平・かほり「漫才」
・はん治「ぼやき居酒屋」
・川柳「ガーコン」
・小菊「粋曲」
・権太楼「代書屋」
・白鳥「スーパー寿限無
・仙三郎社中「大神楽
・三三「看板のピン」
・志ん輔「宮戸川
ロケット団「漫才」
・歌之介「漫談」
・正楽「紙切り
小三治「野ざらし」

というわけで続いて夜の部。

・市馬師匠の「雑排」。
夜の部はちゃんとした落語が続いてちょっとほっ…。市馬師匠が出てきてさらにほっ。この絶対的な安心感はなんだろう。やっぱり私はちゃんとした落語をやる噺家さんが好き。

・はん治師匠の「ぼやき居酒屋」。
初めて見たはん治師匠。「ぼやき居酒屋」は桂三枝師匠の創作落語で、小三治師匠のお弟子さんでも新作やる人がいるんだ?!とびっくりしたんだけど、面白かった〜。
明るくて気持ちのいい落語で好きだな、はん治師匠。

・権太楼師匠の「代書屋」。
面白かった!これも無筆な男が代書屋に履歴書を書いてくれと言ってやってくるという噺で、「生まれた場所は?」と聞かれれば「奥の座敷!」、「生年月日を大きな声で」と言われれば「生年月日!(大声)」。
どこまでもすっとこどっこいな男とあきれる代書屋の対比が楽しい。

・白鳥師匠の「スーパー寿限無」。
いつでもジャージ風味の着物でドスドス出てきて、新作落語をどかん!とぶち放つ白鳥師匠はかっこいいと思う。特に昼の部に「こういう話を聞きたいんだろ?」的なゆるい漫談ばかりが続いたので余計にそう思った。

・三三師匠の「看板のピン」。
うおお。出てくる前に袖でジャンプをしてる姿が見えてぞくぞくっ。やっぱり三三師匠はかっこいい。
「白鳥師匠が寿限無を言えたことに楽屋では大騒ぎでした」
寄席らしく前の人をいじるのも素敵だ。
所作の美しさとメリハリがいい。

小三治師匠の「野ざらし」。
楽屋口に黒い着物がちらっと見えるたびに胸がどきどき。待ってましたの小三治師匠。
まくらも楽しいけれど、やはり噺に入った途端に空気が変わって風景や人物が動き出す、それが見たくて来ているのだなぁ、と思う。
この間ホールで見た時よりずっと近かったので、表情の1つ1つがきちんと見えて、本当に良かった。来た甲斐があった。大満足。

権太楼師匠「代書屋」