りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

黄昏に眠る秋

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

★★★★★

霧深いエーランド島で、幼い少年が消えた。母ユリアをはじめ、残された家族は自分を責めながら生きてきたが、二十数年後の秋、すべてが一変する。少年が事件当時に履いていたはずの靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに送られてきたのだ。急遽帰郷したユリアは、疎遠だったイェルロフとぶつかりながらも、愛しい子の行方をともに追う。長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた父娘を待つ真実とは?スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞に加えて英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞した傑作ミステリ。

スウェーデンの霧深い島で、ある日忽然と子どもが消えた。
島をあげて捜索したが子どもは見つからず、子どもの母親であるユリアは島を離れ自分や父イェルロフを責め続けながら、一歩も進めないでいた。
一方イェルロフのもとには、事件当時子どもが履いていたサンダルが送り付けられてきて、事件性を確信したイェルロフは独自に調査を始める。
イェルロフに呼び出されて十何年ぶりに島を訪れたユリアは、どんなに辛い真実であったとしてもそれを明らかにし向き合おうと決心する。

埋葬されながらもいまも生きているという噂のある犯罪者ニルス。
イェルロフは孫の失踪にはニルスがかかわっているでのないかという疑いを抱き続けている。
真相に近づくにつれ、ユリアとイェルロフにも危険が近づいてきて…。

ミステリーを読む楽しさをしみじみと感じさせてくれる作品だ。
情緒的な部分はゆっくりと進み、ミステリー部分はスピード感もあり、とそのバランスが絶妙なのだ。
辛い物語なのだが、真相に近づいていくワクワク感もあるので、辛いでも楽しい…という両方を楽しめる。

「冬の灯台が語るとき」もミステリーの枠を超えるような作品だったのだが、こちらもとても面白かった。
面白いなぁ、スウェーデンミステリー!3作目も翻訳されますように!