りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

大吟醸/三人会 渋谷に福来たるSPECIAL 〜落語フェスティバル的な〜2013

3/23(土)、大吟醸/三人会 渋谷に福来たるSPECIAL 〜落語フェスティバル的な〜2013に行ってきた。
さん喬師匠、権太楼師匠、雲助師匠の3人会ということで、この「渋谷に福来たる」の中でこちらの会を選んだのが我ながら渋い…。 さくらホールと言えば以前「落語教育委員会」で行って2階席の後ろの方でさみしい〜気分になった会場。
今回は1階席の真ん中より前の方という良席だった。せっかく見に行くんだからこれぐらいいい席で見たいもの…。

・おしゃべり
・市助「一目上り」
・さん喬「幾代餅」
〜仲入り〜
・権太楼「猫の災難」
・雲助「花見の仇討」

幕が開くと3人の師匠が座っているという珍しい光景。
二人会とか三人会の時、こんな風にちょこっとでも座談会のコーナーがあるとうれしい。
司会をこなすさん喬師匠、混ぜっ返す権太楼師匠、のんびり聞きながら時々突っ込みを入れる雲助師匠。
ああ、この3人だとこういう感じになるのね、というのがファンにしたら面白い。

トークのテーマは「憧れの女、運命を左右した女」。
10分間のトークで掘り下げた話はできないよ〜ということで、それぞれ女優の誰が好きだったとかいう話をしだすと、「菊之丞が女子アナと結婚。噺家もえらくなったもんだよなぁ」と権太楼師匠が混ぜっ返す。
「昔は噺家の女房なんていったら飲み屋かモギリかだったろ?」
「いやでも再婚だし」
「そこを強調するか!」
弟子といると「師匠」だけど、こうやって同じぐらいの年代同士で集まると当たり前にくだらなくて素敵…。

・柳亭市助さん「一目上り」。この噺も「つる」と同じパターンの噺で、ご隠居さんから教えてもらった話を他でやろうとして失敗する噺なんだけど、こちらの方が面白い気がする。
市助さんは市馬師匠のお弟子さんらしい。声がよくて聞き心地がよかった。

・さん喬師匠は最初のトークで「自分にとっては来てくださっているお客様が運命の女性」みたいなうまいことをおっしゃって、ほかの二人から「うまくまとめやがって!」と揶揄されていておかしかったんだけど、そう言われるとお世辞とわかっていてもちょっとドキドキしちゃったりして。(←思うツボ)
たたずまいがきれいできちんとしている方だなぁという印象を持っていたんだけど、実際に見てみると、ちょっと毒気もあって皮肉っぽいところもあって、そうかーやっぱり喬太郎師匠の師匠なんだなぁ!!と思う。

人情噺はあんまり得意じゃないんだけど、「幾代餅」は好き。話し始めてすぐに気が付いて、わーい!とうれしくなった。
雲助師匠のを以前見たことがあったんだけど、細部が違えていて、そういうところに噺家さんの解釈とか工夫があるんだなぁ…と。
そういうところがもっときちんと分かるようになったら、きっともっともっと面白いんだろうなぁ…。
さん喬師匠のはあまりくどくなくてしっとりしている気がした。(そんなもやっと理解)

・権太楼師匠の「猫の災難」はインターネット落語会でも見たことがあったのでテッパンなイメージ。
2杯目は半分にしておこうと言いながら「あっいっぱい入っちゃった」。
そうだ兄貴の分を残しておこうと1合半を徳利に入れたら目いっぱいいれちゃって、これじゃ燗ができねえじゃないか!と徳利からちゅうちゅう吸い上げる。
畳にこぼしたお酒をもったいないもったいない!とちゅうちゅう吸ったり顔につけたり首につけたり。
このお酒に対する意地汚さが自分のことのようで面白いやら痛いやら…。

なんていうかリズムがいいんだよねぇ。もうそれだけで気持ちよくて笑ってしまう。
やっぱり落語はこういうばかばかしい噺が一番好きだ。

・雲助師匠の「花見の仇討」。
雲助師匠は噺をするときに後ろの方に視線を置くので、前に浅草演芸ホールに見に行ったときはまったく目が合わなかったのだが、今回は何回か目があった!ような気がしてドキドキ。本当になんかかっこいいんだよねぇ…。

「花見の仇討」も大好きな噺。花見の時に趣向をして周りをあっと言わせよう、なんて。昔の日本人は本当に粋だったんだねぇ…。 雲助師匠は芝居のかたちがそれはもうかっこよくて、だけどそれがとほほになるのがとっても面白くて。
またこういう時にどんどん野次馬が集まってきて、木の上にのぼって実況中継する奴が出てきたりするのがおかしい。
最後は春らしい噺で爆笑して、大満足でホールを後にしたのだが、会場を出たら渋谷の街にも桜の木があって満開でなんだかとてもうれしくなったのだった。