りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

一之輔、高座に粗忽の釘を打つ

一之輔、高座に粗忽の釘を打つ (落語ファン倶楽部新書5)

一之輔、高座に粗忽の釘を打つ (落語ファン倶楽部新書5)

★★★★

二ツ目時代から頭角を現し、逸材と言われた春風亭一之輔が、2012年3月、21人抜きの大抜擢で真打昇進を果たした。近年稀に見る大盛況となった披露興行の詳細なドキュメント、50日間でかけたすべてのネタ24席の解説を収録。小学校での落語との出逢い~の落語研究会を経て01年、恩師一朝に入門。師の薫陶を受け、入門から11年で真打に昇進!鮮やかな飛翔を遂げた一之輔がこれまでの軌跡、そしてこれからへの思いを、初めての書籍に綴る。

「お前、本まで出すのか?!」という小三治師匠の帯がおかしい。
期待の真打、一之輔師匠の披露興行の詳細なドキュメント、本人による50日間でかけたすべてのネタ24席の解説、そして自伝という構成。

好きだなぁ、この人。ふてぶてしいと言われるけど多分集中力と客観視力がものすごく高いんだと思う。
そしてこれを読むと一朝師匠のことが好きになるなあ。前にまくらで「うちの一門は放牧ですから。飯食いに帰ればいいんですから。食いに帰らないとむしろ持ってきてくれますから」と言っていたけど、こういう師匠についたお弟子さんは幸せだ。御披露目公演全部に出てくれて毎回違うネタをかけようとしてくれた師匠。師匠への拍手が大きかったことを喜ぶ弟子。素敵だなぁ…。

またたいして勉強をしなくてもそこそこの成績をとって挫折知らずだったのが、高校のラグビー部ですっかりヤラれてしまった、というのもおかしい。
汗と泥にまみれながら感じ続けていた疎外感。集団の中で萎縮する感じ。そういう経験があるからこそ、落語が面白くなる、というのが面白い。負の部分がない落語なんてつまらないからなー。

本当に将来が楽しみな噺家さんだ。この人のこれからの体当たり人生をそっと見守っていきたい。