りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

巨匠とマルガリータ

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)

★★★★★

モスクワに出現した悪魔の一味が引き起こす不可解な事件の数々。20世紀最大のロシア語作家が描いた究極の奇想小説。全面改訳決定版!!

焼けつくほどの異常な太陽に照らされた春のモスクワに、悪魔ヴォランドの一味が降臨し、作家協会議長ベルリオーズは彼の予告通りに首を切断される。やがて、町のアパートに棲みついた悪魔の面々は、不可思議な力を発揮してモスクワ中を恐怖に陥れていく。黒魔術のショー、しゃべる猫、偽のルーブル紙幣、裸の魔女、悪魔の大舞踏会。4日間の混乱ののち、多くの痕跡は炎に呑みこまれ、そして灰の中から〈巨匠〉の物語が奇跡のように蘇る……。SF、ミステリ、コミック、演劇、さまざまなジャンルの魅力が混淆するシュールでリアルな大長編。ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」にインスピレーションを与え、20世紀最高のロシア語文学と評される究極の奇想小説、全面改訳決定版!

うたかたの日々のようなファンタジーっぽさとロシア的な重厚さを併せ持ち、恋愛、不自由な社会、作家の苦悩、職務と信念、人間の生きづらさをとんでもなく魅力的に描いている、これはもうとてつもない物語だ。

主人公の巨匠とマルガリータも魅力的だが(しかも主人公なのになかなか登場しない!)、なにより悪魔たちの魅力的なことったら!
悪魔の残酷で気紛れなハチャメチャな行動に反して、語る言葉の深遠さ。
そして悪魔が神の敵ではなく神の裏側として描かれているのも面白い。いやー、期待にたがわない小説だった。面白かった!