とにかく散歩いたしましょう

とにかく散歩いたしましょう

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人気作家の日常。締切を前に白紙の恐怖に怯え、店員とのやりとりに傷つき、ハダカデバネズミに心奪われる。たとえ何があっても、愛犬と散歩すれば前に進める・・・心温まるエッセー集。

些細な日常を綴る言葉も美しく、さすが作家の書く文章は違うなぁ！としみじみ。
自分の無知や気弱や進まない筆を嘆きながらも、愛犬や出会う人々や本や風景からキラリと光るものを見つけて描写する。短い文章の中に風景や空気をしっかりと表現されていてその才能にうっとりする。

何度もニヤリとし時に涙ぐみながら楽しく読んだ。
特に愛犬ラヴの話には涙涙…。
また読書日記にもなっているところがファンとしては嬉しいところ。読んでいる本について書いてあると嬉しくなるし読んだことのない作品はみな読みたくなる。
自分の本棚を眺める描写があると私も自分の本棚をぼんやりと眺めたくなる。

シンと研ぎ澄まされた小説と違って、エッセイの方は柔らかく温かく傷つきやすくて、その感性に励まされるような気持ちになった。
言葉は大切にしなくちゃいけない。そう思った。