湿地
- 作者: アーナルデュル・インドリダソン,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/09
- メディア: ハードカバー
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北の湿地の建物で老人の死体が発見された。現場に残された謎のメッセージ。被害者の隠された過去。衝撃の犯人、肺腑をえぐる真相。いま最も注目される北欧の巨人、日本上陸。
ストーリー自体はそれほど派手さもなく展開にもそれほど意外性はないのだが、独特の雰囲気と味があって読ませるのだよなぁ…。
1つ1つの章の長さがわりと短くて、展開も無理がなく自然に進んでいくので、読みやすいし違和感がないのが人気の秘密か?
とにかく主人公の犯罪捜査官のエーレンデュルがとても魅力的だ。
家庭は何年も前に崩壊し、戻ってきた一人娘はヤク中で妊娠中。
同僚はそれぞれ優秀だがフレンドリーな関係は築いていない。
捜査を進める中で自らの精神状態がやれていったり、ふとしたときに見せる正義感や優しさにぐっとくる。
事件や真相だけではなく、そういう人物描写が物語に厚みを与えているのだと思う。
著者は「どこかの国を知りたかったら、ミステリ小説を読めばいい」と語ったらしいが、確かにそうなのかも。
ここ数年北欧ミステリーに人気が集中しているのはきっと国民性や閉塞感が私たちに理解しやすいからなのかもしれない。
表紙や帯にもヤられたな。北欧ミステリー、やっぱり面白い!