りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第2図書係補佐

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

★★★★★

僕の役割は本の解説や批評ではありません。自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。(まえがきより)。

お笑い界きっての本読みピース又吉が尾崎放哉、太宰治江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴る、胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収載。

今年の1冊めはこれ。
これを読んでますます又吉のことが好きになった。

彼にとって大切な本が紹介されているのだが、書評ではなく、日常のことや過去の出来事を描いたエッセイに絡めて本を紹介する、というスタイル。
とにかく語られるエピソードがどれも面白いし、本の紹介も控えめだけど的を得た愛情溢れる文章で書かれていて、どれも読みたくなる。

いつも傍らに本があってそれを栄養にして生きてきたんだなぁ、ということが読んでいるとよくわかる。
本が好きな人でこれを読んでぐっとこない人はいないんじゃないかな。

まじめとおちゃらけ、暗さと明るさ、後ろ向きな前向きさ、自己観察、ノスタルジック、それらすべてのバランスがとてもいい。
文章も嫌味がなくて丁寧でとてもいい。

紹介されていた本、全て読みたくなった。
そして、この人のお笑いはちょっと苦手、と思っていたけど、お笑いのほうももう少しちゃんと見てみたくなったよ。