りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ユリゴコロ

ユリゴコロ

ユリゴコロ

★★★★

亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。圧倒的な筆力に身も心も絡めとられてしまう究極の恋愛ミステリー!

面白かった!押し入れから出てきた手記を、暗い和室でドキドキしながら読んでいる気分で、先が知りたくて一気に読んだ。
親のことって案外わかっているようでわかっていない。
殺人の記録が書かれたこの手記は、優しくて控えめだった母が書いたのか、あるいは物静かな父が書いたのか?

設定がとてもリアルでスリリングなのでそこでまずぐっと掴まれる。
また手記の内容は非現実的とも思われるほど残酷で淡々としているのだが、視点が主人公亮介に戻ると等身大というかフツウなので、少しだけほっとしつつ、でもその恐ろしい「何か」を覗き込まずにはいられなくなるような…。

「痺れる」を読んだ時は、この人は短編ぐらいがちょうどいいなぁ>私には。と思ったのだが、長編も面白い!
さすが今話題の作家さんだね。

私はこの物語から愛を感じとりはしなかったけれど、物語として楽しんだので、もう少しダークな終わりかたでも良かったくらい。
しかし、「悪の教典」は全く受け付けなかったくせに、こちらは全然大丈夫という…。 なんでかなぁ。男の描く暴力には反発を覚えやすいんだろうか、私…。うーん。