りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アンダー・ザ・ドーム

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 下

アンダー・ザ・ドーム 下

★★

本は捨てない主義だ。雑誌や技術書なんかは読んで捨てることもあるけど、ほかの本は捨てない。
断捨離って流行ってるけど、私あれ大嫌い。
そもそもあれって、いつでもどこでも物が手に入ることが前提だよね。なんかそれってどうなの?って思ってしまう。
貧乏育ちのせいなのかな。捨てるのが善みたいに言われるのにも腹が立つ。
それに物に執着しない人生なんて、私はつまらないと思ってしまう。
私は好きな物に囲まれて暮らしたい。昔買った物や想い出の品は捨てられない。いいじゃないか、片付かなくても。

小学生の頃に少しずつ集めた佐藤さとる全集。
年の離れたいとこにもらったドリトル先生のシリーズ。
好きすぎて自分でヘタな表紙を書いて貼った「いいどろぼうのビリバルト」。
どれも宝物だ。
だから捨てない。

なんて言っていると、ほんとに物だらけになってしまう。
だから、最近本はほとんど図書館で借りて読んでいる。
今はネットで予約できてほんとに便利なんだよね。

で、この本。人気本だから相当待つ覚悟でいたら、案外早く届いた。
貸し出しカウンターで「おおっ、来た来た」と思わずつぶやいたら、司書の方が「ああっ、いいなぁ。私も読みたいです、これ」と言う。「でもあたしたちは後回し。ま、しょうがないですけどね」
「わーーそうかー。すみません!お先に読ませていただきます!」
「うん。楽しんで読んでください。返って来るの待ってますから」

…こんな会話がすごく楽しい。うれしくなっちゃう。
って前置きが長い。ぷ。

町はビッグ・ジムの手に落ちた。悪辣な陰謀が人々を陥れてゆく。煽動された暴動。演出された流血。罪なき者は踏みにじられ、焼き尽くされ、投獄される。法も秩序も良心も“ドーム”のなかに手を伸ばすことはできない。陰謀の総決算は臨時町民集会―そこで反対勢力は弾劾され、死刑を宣告されるだろう。ビッグ・ジムへの反撃を目論む元兵士バービーと医師助手ラスティらは、天才少年ジョーと仲間たちが山奥で“ドーム”発生装置とおぼしき謎の機械を発見したことを知る。しかしビッグ・ジムの弾圧の手は容赦なく彼らに及び…。蓄積しきった圧力が解放されるときがきた。恐怖にうち克つのは生きとし生けるものの生命の尊厳。圧倒的な筆力とイメージで恐怖と怪異、その末の浄化を描いたあのキング、ここに復活。

人物紹介が4ページ。4ページですよ。
もう人がわらわらわらわら出てきて、それが男なのか女なのか、いいもんなのかわるもんなのか、なかなか覚えられない〜。
そして、あれ?これ誰だっけ?人物表に載ってない?と思っていると、あっけなく死んじゃったり。
これは主要な人だと愛着を持って読んでいると、これまたあっけなく死んじゃったり。
もうとにかく人が死ぬ死ぬ死ぬ。死にすぎだよ…。

いきなり町がドームで覆われて閉じ込められてしまうんだけど、とにかく恐ろしいのはこの現象自体じゃなくて、人間だ。
外の世界から隔離されて人々がパニック状態になる中、これでますます自分の思うとおりに振舞うことが出来るとほくそえむビッグ・ジム。そして暴力の申し子のようなビッグ・ジムの息子ジュニアとその仲間たち。
この圧倒的な悪がもう容赦なさすぎて、読んでいて辟易…。ここまでの悪を描いて何を言いたいの?と思ってしまう。不快感しかないんですけど…。

世間では評判が良いようなんだけど、私はだめ。だめだった。
確かに圧倒的な物語力は健在だけど、だからなに?という想いが沸々と…。最後の方は「ああ、もういいよ、げふ」となりました…。