りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

妻の超然

妻の超然

妻の超然

★★★★★

これは爽快な小説だ。すかっとさわやか!即ち超然!
「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の3作がおさめられているのだが、どれもみな違った「超然」だ。

ほんとは全然超然じゃないけど、超然であろうとする「妻」がとてもいい。いいわ〜この奥さん。好きだわ。
だんなのことを「この〇〇〇が!」と心の奥でつぶやくシーンにはもう爆笑。絶対言ってはいけないことをあえて言うのってほんとに気持ちいいよねー。
私ももうぐずぐずするのはやめて超然を目指してみようかな。

「下戸の超然」は下戸ではない私が読むと、かなり「イタイ」物語。
あーーあたしやっぱりこんなふうに見られちゃってるのかー。あいたたたっ。
でも「酒」以外のところでは、主人公に激しく共感!
私も善意は怖い。悪意に対しては力で勝負できるけど、善意には力づくが効かない。やってる本人が「正しいことをしている」という信念があるだけに、弾くのによりエネルギーがいる。
これはしょうがないな。こういうことってあるよ、うん…。

そして「作家の超然」。これはまたスケールが大きいような小さいような不思議な話。すごいねー、この人はほんとに。男らしい人だなー。
自分の一番の急所にグリグリと刃を向けられる作家ってなかなかいないのでは?
私は作家ではないけれど、でもなんか痛いところをつかれたなーって思うところが何個もあって、それが痛気持ちよかったなー。