25時
- 作者: デイヴィッドベニオフ,David Benioff,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
厳冬のニューヨーク。モンティは明日、収監される。刑期は7年。自由でいられるのはあと24時間。刑務所でハンサムな若い白人男性を待ち受ける運命は恥辱に満ちている。選択肢は服役、逃亡、そして自殺―。絶望を抑えながら、モンティは愛する者たちと淡々と一日を過ごす。パーティの夜が明け、彼が親友に懇願したこととは?父親が彼に申し出たこととは?全米瞠目の青春小説。
「卵をめぐる」に比べると小粒感は否めないのだけれど、これも案外良かった。
麻薬の売人なんて、私にとったら縁のない世界で「悪」以外の何物でもないのだけれど、アメリカの若者にとったらそう遠くはない世界なのかもしれない。
もちろんフツウの人は接触することのない世界なのかもしれないけれど、でもクラスにいる、ちょっと悪い男の子とかが片足を突っ込んだりするのは、身近なことなんじゃないか?
身近だけど、やはり「怖いこと」であることのは間違いないわけで、だからこそ、薄々そういうことをしていると気付いていても、見て見ぬふりをしてしまったり、根拠はないけどそれほど酷いことにはならないかも?と思ってしまったりするのか?
モンティの友人や恋人の反応から、そんなことを感じた。
刑務所に入るまでの25時間。自分が手放さなければならない「現在」と、歩めたかもしれない「未来」。
自分はどこで間違ってしまったのか。
何も怖くないような顔をして今まで生きてきたけれど、そのことに何の意味があったのか。
モンティ自身の心情があえて描かれていないだけに、余計に苦い気持ちになる。
男の友情、父親の子を想う気持ち、どれもすばらしくて泣かせるけれど、1つ1つの選択をするのは自分自身。落とし前は自分でつけなければいけない。
失う時に初めてその大切さや価値が分かるのはあまりに切ない。
今を大事に正しく生きなければ、と想った。