りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末裔

末裔

末裔

★★★★

今を生きるオヤジを描く、著者初の家族小説誰もいない家から閉め出された定年前の男は、漂泊を続けながら、幸せの日々、本当の教養などに思いを巡らす。そして自らの存在を確かめるために行動を起こした。

妻が亡くなり、ゴミ屋敷?に一人住む公務員のオヤジ省三。
ある日自宅に帰ると、鍵穴が無くなっていた!
修理屋に電話してもきっとふざけていると思われるだろう。
裏口から入ればどうにかなるかもしれないが、積み上げたゴミの山が邪魔をして入れない。
そうこうしているうちに隣家の犬に吼えられ仕方なく家を離れる…。

なんか不思議な話だなぁ。
物語自体もそうだけど、テンションがなんか不思議。
目が覚めきらないうちに知らない人に車に乗せられて知らない町でぽいっとおろされたような…。
夢か現実かわからないうちにどんどん人を紹介されてどんどん奥へ連れて行かれるような…。

主人公の省三が妙にかわいくて、オヤジチックな嘆きや思考が結構心地よくて、ちょっと応援しながら読んでしまった。
ちょこっとだけ助けてくれる人が現れて、一人ぼっちじゃない人生が待っている?と思わせてくれるラストが良かった。