アンダスタンド・メイビー
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/12
- メディア: 単行本
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- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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「どうか私だけの神様になって」ファインダーを通して見ていたのは誰の秘密なのか。デビュー10周年記念書き下ろし作品。
今まで読んだ島本作品の中で一番好きだった。 主人公黒江が破滅的ではあるのだけれど、いざとなると攻撃的になって自分の身を守るところが好きだった。 掘り下げて書かれているので読んでいて辛いのだけど、その分腑に落ちるというか納得ができて、とても良かった。
以下ネタバレ。
私が今まで読んだ島本作品には必ず「レイプ」が出てきた。
それが唐突に感じるときもあって、不快感を感じることもあった。
今回もそれは一つのテーマになっている。 性暴力の被害に亜あうと、被害者なのに、そうなってしまったのは100%相手が悪いはずなのに、本人に隙があったから、と言われてしまうような風潮がある。それは「世間の目」だけではなく、自分自身の目でもあって、それだけにその苦しみは消えないし乗り越えることが難しいのだと思う。
黒江は子どもの頃、中学生の時、高校の時、と3回もそんな目にあってしまう。 それは決して彼女が悪いわけではない。決して彼女のせいではないのだ。 だけどそれは彼女の傷になって彼女を蝕んでいく。
親からの十分な愛を受けられなかった黒江は、恋人に「神様」を求めてしまい、それが時として空回りしたり、一番大切に思っている人を遠ざけてしまったりするのだが、いろいろ痛い目にあいながら、恋人でも家族でもない人たちと、100%の関係ではなくても100%寄りかかることはできなくても、補いあって支えあう関係を築けるようになる。 そこに救いを感じた。