りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

狂気

狂気

狂気

★★★★★

楊教授が脳卒中で倒れた。愛弟子で、彼の娘・梅梅の婚約者でもあるぼくは教授の付き添いをすることになるが、病床で教授は秘密と憎悪を吐露する…。全米図書賞受賞作家が天安門事件を題材に、非情な現実に抗う人間の姿を描く。

自分の恩師が脳卒中で倒れ、その看病をするようになった青年。
実力も人気も人望もあった恩師が、痴呆状態のようになり、それまでの自分の人生で成し遂げられなかったこと、許せなかったこと、怨みに思っていることを語り出す。

今まで隠し続けてきた自分の秘密とか汚点とか怨みがだだ漏れになるって、怖い…。
美しく死ぬために生きているわけではないけれど、後悔や恨みを抱えきれないぐらい抱えた状態で死ぬのは嫌だなぁと思ったなぁ…。

尊敬していた恩師の姿に戸惑い、その言葉に恐れおののき、自分の将来を見失う主人公が妙にリアルだ。
こんなことで人生は変わってしまう。
でも自分の人生の最期に汚い言葉をこれでもかと吐きまくるのだけは避けたいなぁ…。

「待ち暮らし」で大好きになったハ・ジン。 本作も期待に違わず面白かった〜。