コトリトマラズ
- 作者: 栗田有起
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 単行本
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勤務先の社長と密かに付きあう華。彼の妻の入院で、ふたりの関係は変化する。そんな華が思い起こすのは「母が死体にキスをした」遠い日の記憶。老いゆく母にも秘められた物語があったのかもしれない。揺れる心を細やかに描く恋愛小説。
不倫モノはあまり好きではないんだけど、これはなかなかよかった。
「私たちの間にあるのは恋愛じゃなく運命」
「ふたりでいるときはふたり以外のものは存在しない」
最初は傲慢爆発だった華ちゃんが、徐々に周りが見えてきて、一人苦しんだり友達に本音を漏らしたり葛藤したりと、単なる不倫話ではなく、一人の女性の成長物語になっていて、そこがとても良かった。
「関係はみんなで作るもの」という親友カヨちゃんの言葉が実にいい。
言葉の選び方とかリズムとかがすごく好みだわ〜。
「これからは自分の好きなことしかしない」と言い切る母も素敵だ。
親としてみると、ちょっとどうかとも思うけど。これもありっちゃありか。
しかし、華ちゃんにしても奥さんにしてもカヨちゃんにしても、女たちはみんな一人で立って頑張っているというのに、男がどうにも情けない…。
この社長って…なんの魅力も感じられないけどなぁ…。
不倫モノって、どうしても男がバカに見えちゃうんだよな。