りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

わがままなやつら

わがままなやつら

わがままなやつら

★★★★

二週間後の死を宣告された十人の男たち、大きな男に鳥篭で飼われる小さな男、愛しあうマザーファッカーと新人女優、かぼちゃ頭の両親から生まれたアイロン頭の子供、七人のじゃがいもの赤ん坊たち、指に十の鍵を持つ少年―。空想と現実のよじれの中で描かれる人間たちのいとなみ、交わり。様々な感情が読者を包み込む。絶賛された最初の短篇集『燃えるスカートの少女』から七年。愛は深まり、痛みは増し。生も死も、より鮮やかに。完成度が研ぎ澄まされた全15篇。

おお、いいねぇ。 これは短編だからこそ味わえる世界だなぁ。短編より長編の方が好きだけど、こういうのを読むと短編もいいなぁ!って思う。

荒々しいけど繊細で残酷で暴力的な中に胸を打つような孤独と誰かを求める気持ちが透けて見える。
こういう短編最近あるよね?と思いながらも、でもちょっとそれとも違うかなって感じもする。

特に好きだったのが「飢饉」。
一度は埋葬(?)したじゃがいもくんたちを掘り起こすシーンや、一緒に雨に打たれるシーンは、荒唐無稽なんだけど妙にリアルでまるで自分がその場にいたように胸がきゅーんとなった。