天国旅行
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03
- メディア: 単行本
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そこへ行けば、救われるのか。富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、前世を信じる女の黒い夢、一家心中で生き残った男の記憶…光と望みを探る七つの傑作短篇。
心中がテーマの短編集ということなので、かなり構えて読んだんだけど、暗い話ばかりではなく、バラエティに富んでいて、とても面白かった。
読んで、生と死は案外近いところにあるのかもしれないなぁと思った。
ひょいっと超えられる線。だけど一度行ってしまったら帰ってくることができない線。
そして夢を見ているときというのは、生きている自分が最も死に近づく瞬間でもあるのかもしれない。
死に損なったおじさんが樹海で自衛隊の青年に出会う話と、焼身自殺した憧れの上級生の話と、死んだ恋人がなぜか見えてしまう話が、特に好きだった。
死をテーマにしているのに、読後感は爽やかささえ残るというところが不思議。