りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ふがいない僕は空を見た

ふがいない僕は空を見た

ふがいない僕は空を見た

★★★★★

これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。

これ、面白かった!
1作目は、エロくてグロい描写に、正直「うへぇ」と引いたけど、語り手が変わり視点が変わると、「ああ、そういうことだったのか」と見えてくるものもあり、徐々に登場人物たちを見る目が変わってきて、この作品に対する気持ちも変わってくる。

最後まで読むと、1作目では屁とも思わなかった斎藤くんのことが最後まで読むと愛おしく思えてくる。
組み立て方がとてもうまいなぁと思う。

心がざわざわする話が多かったけれど、でもとてもよかった。好きだ。