りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

リテイク・シックスティーン

リテイク・シックスティーン

リテイク・シックスティーン

★★★★

高校に入学したばかりの沙織は、クラスメイトの孝子に「未来から来た」と告白される。未来の世界で27歳・無職の孝子だが、イケてなかった高校生活をやり直せば未来も変えられるはずだ、と。学祭、球技大会、海でのダブルデート…青春を積極的に楽しもうとする孝子に引きずられ、地味で堅実な沙織の日々も少しずつ変わっていく。


ああ、これ好き好き。

高校に入学した頃のふわふわした感じ。

近づいたと思うとぷいっと離れていく友達との距離感。

ふいに大人びて見えたり身近に感じたりする異性の存在。

あれが青春だったのだなぁと、いまになって思うけれど、あまりにぱっとしなくて不完全燃焼でそう感じることはなかった、あの時代。


渦中にいたらおそらくここまで客観的に描くことはできないだろう。

だけど、あまりに離れてしまったら、ここまでリアルに描くことはできないだろう。

この「つかずはなれず」感が絶妙だ。

現役高校生にぜひ読んでほしい。

これを読んだからって人生が変わるわけではないだろうけど、少しだけ気が軽くなるんじゃないか。それってすごいことなんじゃないか、と思う。