閉じた本
- 作者: ギルバート・アデア,青木純子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/12/10
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
事故で眼球を失った大作家が、自伝執筆のため口述筆記の助手を雇い入れる。執筆は順調に進むが、何かがおかしい……。彼は何者なのか? 会話と独白体のみで綴られた異色作。
物語に登場するのは2人だけ。
事故で眼球を失くした作家ポールと、その口述筆記をするために雇われたジョン。
ポールは偏屈でプライドばかりが高くて注文が多くて、読んでいるとジョンの気持ちになって「ああ、もう耐えられない!」と思う。
その一方で、目が見えなくて周りに誰もいなくて自分の雇った怪しげな男に全てを頼りきって暮らすというのは、どれだけ不安で恐ろしいことだろう、とポールの気持ちになって思う。
ポールとジョンの間をシーソーのようにあっちに傾いたりこっちに傾いたりしながら読んでいて、そして最後は…。
ミステリー、サスペンス、として読めば、それほど目新しさはないのかもしれないけれど、とにかく語りが非常に巧くて、まるで舞台を見ているような緊張感。
面白かった〜。
「作者の死」もいつか読んでみよう。