りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

モダンタイムス

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

★★★★★

検索から、監視が始まる。 漫画週刊誌「モーニング」で連載された、伊坂作品最長1200枚。

追い詰められる系は好きじゃないと言ったその口も渇かないうちにまたそんなような本を読み始めてしまったか?と、前半は腰が引けた状態だったんだけど、軽妙な語り口に引き込まれ、気がついたら夢中になって最後まで読んでしまっていた。
深刻さといい加減さと、明るさと暗さと、残酷さと優しさ。バランスがいいし、飽きさせないし、読者を一人ぼっちにさせない。やっぱりさすがだなぁ。売れるわけだよ。うん。

投げっぱなしのエピソードもあったりして、ちょっと荒い?ような気がしないでもないけど、やっぱり面白い、伊坂幸太郎
そして、主人公が同業なだけに、細部がすごくリアルでツボだった。
殺しても死にそうにない課長とか、来なくなっちゃうSEとか、徹夜しているときにぶっ壊れるサーバーとか…「あるあるある!」の連続で、それがまた楽しかったなー。

ありえないようなシチューエションや残酷な出来事の間に、「あーーそうだよなぁ…私もそう思ってたよ」と思うような描写があってドキっとする。
伝えたかった(であろう)メッセージ、ちゃんと伝わったよ。そう言いたくなる。