りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

フィンバーズ・ホテル

フィンバーズ・ホテル (海外文学セレクション)

フィンバーズ・ホテル (海外文学セレクション)

  • 作者: ダーモットボルジャー,アンエンライト,コルムトビーン,ヒューゴーハミルトン,ジェニファージョンストン,ロディドイル,ジョセフオコーナー,Dermot Bolger,Joseph O’Connor,Anne Enright,Colm T´oib´in,Hugo Hamilton,Jennifer Johnston,Roddy Doyle,茂木健
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本
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★★★★

ダブリンのはずれに位置する、1920年代に建てられた古いホテル。閉鎖を間近にひかえたある一夜、そこではいったいどんなことが起こりうるだろう?―編者ダーモット・ボルジャーの誘いに、ロディ・ドイルをはじめとする今を時めくアイルランド作家たちが、101号室から107号室の物語を、それぞれ短編に仕立てあげた(各編の著者名は伏せられています)。作家、詩人、そして出版人であるボルジャーがさらなる磨きをかけ、各宿泊客とホテル従業員らの生きざまを絶妙なアングルで交錯させてゆく!7つの部屋のドラマチックな夜を、ちょっとのぞいてみませんか。

フィンバーズホテルというちょと崩れかかったホテルがある。
そこの部屋(101号室から107号室まで)に泊まっている人たちの物語を、それぞれ別の作家が描いたアンソロジー。
しかも6名の作家がどの部屋の物語を書いたのかということは伏せられているのだ。
解説を読むと「これはきっとこの人なんじゃないかな」というのは書いてあるんだけど、なんかそういうのって面白い。
で、これがアイルランドの作家っていうのもまた面白い。

一夜の冒険を夢見て、わずか3マイル離れた自宅から泊まりに来た冴えない中年男。
永遠に明かせない秘密を抱えた妹と姉。
同居していた女に追い出された腹いせに彼女の猫を誘拐してきた男。など。

各部屋の人たちがエレベータやロビーですれ違ったり、バーでちょっと話しかけたりして接触があるんだけど、それがそれぞれの人たちの視点で語られていくのも面白い。

そして104号室で語られるのが支配人ジョニーの物語。ジョニーの目を通して各部屋の宿泊客のキャラクターがはっきりしてくる。
またこのホテルそのものが波乱万丈の歴史を持っていて、俄然物語が生き生きと動き出す感じになる。

これどうやって作ったんだろう。おのおのが勝手に書いたわけじゃないよな、きっと。
作家たちが集まって打ち合わせをしたりしたんだろうか。
続編もあるようなのでぜひよんでみたい。