いのちのパレード
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 単行本
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恩田ワールドの原点<異色作家短編集>への熱きオマージュ。ホラー、SF、ミステリ、ファンタジー……クレイジーで壮大なイマジネーションが跋扈する、幻惑的で摩訶不思議な作品集。
恩田陸が好きだ。ここ数年読んでいなかったけれど、久しぶりに読んで「ああ、好きだなぁ」としみじみ思った。いやもしかすると今まで読んだ恩田作品の中でこれが一番好きだったかもしれない。
私の好きな奇想を書く人が日本にもいたじゃないか!それもなんと恩田陸がそれだったのか!といううれしい驚きがあった。
どことなく「砂の女」を思わせる「観光旅行」。これでまず掴みはOK(あくまでも私のハートを、ということだけど)。
日本のどこかに確かにそういう村もあるかもしれないと思わせるリアルさと、そこはかとなく漂う悪意が怖い。
そして容赦なく残酷な「スペインの苔」。
私はこれがすごく好きだ。怖いし酷いと思うけれど好きだ。
傷つけられて、暴力で仕返しをする彼女に快哉をあげている自分に気付いてちょっとぞくっ…。
どこかで読んだことがあるような「蛇と虹」も好きだった。これはなんかいかにも恩田陸らしい感じがするんだけれど、翻訳本のような雰囲気あって、好き。
同じような印象を受けたのが「SUGOROKU」。こういう女の園っていうか、妙なルールに支配された世界を描くのがとてもうまいと思う。
「かたつむり注意報」も好きだった。なんかこういうわけがわからないけれどなんとなくわかるような、そういうことにいつか自分も遭遇するかもしれないと思わせてくれるところが面白かった。
ああ、いいじゃないの、恩田陸。新しい作品からさかのぼって読んでみよう。