ねにもつタイプ
- 作者: 岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/01/25
- メディア: 単行本
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翻訳家岸本佐知子さんのエッセイ。
面白い!笑えた!という感想が多かったので読んでみたのだが、ほとんど私は笑えなかった。
というのは、まるで自分のことを書かれているかのように、こだわるところとか妄想とか好き嫌いとかが似ているのだ。
幼いころの親友「ニグ」は、私が幼稚園の頃偏愛していた「まくらちゃん」を思い出させる。
「まくらちゃん」とは、その名の通りただの枕なんだけど、当時ぬいぐるみすら持っていなかった私には無二の親友で、まくらちゃんの上に頭を乗せることなどもちろんできなかったし、髪の毛が濡れているからとまくらちゃんにタオルをかぶせられるのも許せなかった。朝になると押入れにしまわれてしまうため昼間触れ合うことはできなかったけれど、その分夜の再会が貴重でうれしかった。
人間という漢字がある時急に読めなくなる「じんかん」もものすごく覚えがある。というか私はきっとボケてきたら全ての物事に対してそうなるような気がしている。
「ぜっこうまる」も「奥の小部屋」も「ホッホグルグル問題」も覚えがある。
「プリティウーマン」の歌を退治するために「チェリーボンブ」で上書きしようとするのも、あるあるだし。
ちょこっとだけ「あるある」だと「うわーーー。同じだ!!」とうれしくなるけれど、ここまで「あるある」だとちょっと腹が立ってくる。「だからなんだよっ!!」と。なんかそういうちょっとヘンなところが面白いでしょ?と思って書いているんだろうなぁと思い、それがあまりにも自分に近しいので、自分がそう計算して書いているような感じがして、よけいに腹立たしいのかもしれない。
もしかすると実際に近くにいたらものすごーい親友になれるかもしれないけど、いややっぱり「だからなんだよっ」と腹が立って仲良しにはなれないタイプなのかもしれない。
とは言うものの、この人の翻訳する小説はどれも好きだし、人も嫌いじゃないし(いやむしろ好き)、応援しています。