りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

夢の守り人

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)

★★★★★

いとしい者を「花」の夢から助けようとして逆に花のために魂を奪われ、人鬼と化すタンダ。命をかけてタンダを助けようとするトロガイとチャグム、そしてバルサ。人と精霊の世界が混在する「守り人」シリーズ第3弾。

守り人シリーズ3作目。2作目「闇の守り人」は、バルサが故郷に帰り自分の過去と対峙するという物語だったが、3作目ではバルサが新ヨゴ皇国に戻ってくるので、物語としては1作目とつながっている。タンダ、チャグム、シュガ、ジンと1作目に登場した愛しい登場人物たちが出てくる。成長したチャグムにこうして再会できるとは、とてもうれしい。そうか、この守り人シリーズはこうやって登場人物たちが成長していく物語でもあるのだなぁ。

今回の物語では、呪術師トロガイの過去が明らかになる。今では恐れるものなど何もないように見えるトロガイにも苦い過去があり、人間としての弱さやはかなさもあるのだということを、今回の物語で読者は知ることになる。トロガイだけでなく、この物語に出てくる人たちはみな、つらい過去を背負っていたり弱点を持っていたりしながら、前を向いて歩いていこうとしている。
皇太子チャグムが、バルサたちと過ごした日々が忘れられなくて、夢の中に沈み込んでいってしまっていたときに、タンガがチャグムに言った言葉がとてもいい。

どうしたらいいかわからないわかれ道にやってきたら、どっちに歩んでいくほうが<好きな自分>かを考えるんだ。

これは今の私にもとてもこたえる言葉だったなぁ…。

そしてタンガとバルサが子をおもうようにチャグムをおもう気持ちが泣ける…。いいなぁ。このシリーズ、大事に読んでいきたい。