ラッシュライフ
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 文庫
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そして続けざまにこれも読んだのだ。ラッシュライフ。私にとっては2冊目の伊坂作品。
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
最初に読んだ伊坂作品が「チルドレン」だったから、「え?こういう作品も書く人なの?」と驚く。いろんな人がたくさん出てきてばらばらに話が進んでいく。これはわからなくなっちゃう!とメモを取りながら読んでいたんだけれど、どれもエピソードがはっきりしていてわかりやすいから、メモをとる必要はなかった。
一見ばらばらに見えるそれらのエピソードがだんだん交錯してくる。最初のエピソードに出てきたやり手美術商から独立した男が、泥棒の同級生で再会したり、新興宗教にはまっている男が車で後ろを走っていたり、最初に出てきた犬が失業した男と出会ったり…。そしてそれらが最後ぐるぐるぐるっと一つにつながる。おお、なるほど。そういうことか!と。
なかなか面白かったしうまいなーと思ったけど…読んだタイミングが良くなかったかなぁ。「コレクションズ」に身も心もよれよれにされたあとだったから、なんか「小粒」に思えてしまった。いや、こっちを「小粒」と言うのはおかしいかもしれない。ある意味こちらのほうがよっぽど壮大な物語だ。なにせ「コレクション」は家族の物語で、こちらは「神」まで出てくる物語なのだから…。好みの問題、かな…?