数学的にありえない
- 作者: アダムファウアー,Adam Fawer,矢口誠
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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これは面白いっ!はらはらわくわくどきどき。ページをめくる手を止められない。これぞエンターテイメント!という小説だ。
いやそれにしても私って間口が広いなぁ…。「素粒子」の後にこれを読んでも同じように「面白い」と思えてしまうんだから。間口が広いというより雑食?節操がない?まあいいのだ。読んで面白いと思える本が沢山あるのは本当に幸せなことだもの。それにこうしてどれも夢中になって読めてしまうというのは、今自分が元気(読書的に)であるという証拠でもあるしな。とあくまでもポジティブシンキング。
巨大な陰謀に巻き込まれた天才数学者ケイン。窮地に追い込まれた彼の唯一最大の武器、それは「確率的に絶対不可能な出来事」を実現させる能力だった----。
北朝鮮に追われるスパイ、謎の人体実験を続ける科学者、宝籤を当てた男、難病の娘を持つ傭兵......随所に仕掛けられた伏線が次々に起爆、全ての物語は驚愕の真相へと収束する----。
登場人物が魅力的で楽しい。特に主人公のデイヴィッドがいい!最初はたんなるだめなギャンブラーにしか見えないのだが、危機になるほど際立ってくる勇気、冷静さ、頭の良さ、そして優しさに惚れる…。そしてCIA工作員ナヴァもかっこいい。もうこの二人だけで十分「絵」になる。これは映画にしても十分いけるのでは。
何よりストーリーの面白さ。理数系オッペケペーな私でも、ここに出てくる確率論の話は面白かったぞ。(もしかすると本当によくわかっている人が読んだら「ふっ」と笑ってしまうのかもしれないが…)著者は大学で統計学を学んだとあるけれど、多分教えるのが好きな人なのではないかしら。主人公のデイヴィッドのように。なんかそんな感じがした。
なぞが徐々に解けていく面白さと、次々襲い掛かってくる危険を乗り越えていくスリル。面白くて面白くて、歩きながら読んでご飯を食べながら読んで仕事中こっそり読んで。現実生活なんかもうどうでもいい!本の世界に入り込みたい!という気持ちですごした2日間だった。
この小説は、「なんで××?」とか「ここが矛盾している」とかそんなヤボなことは言わないで、ハリウッド映画を見るような気持ちで楽しめばよいと思います。
以下はネタバレです。(なんか最近ほとんど全部ネタバレって書いてる気が…。いやでもやっぱりこれから読む人は読みたくないよね。でもなんか毎回ネタバレって言ってるのもしつこいような…。うーむ…)
ただね…。冒険小説だからしょうがないのかもしれないけれど、あまりにも簡単に人が死んでいくのがね…。トミーもクロウもかわいそうだったなぁ…。なんか最後の方で理由づけをしていたけど無理矢理っぽかった…。デイヴィッド自身は「殺しはもういい」ってつぶやいたりするんだけど、うーん…。
あと後半が失速したなぁって感じは否めなかった。確かに物語を収束させなきゃいけないし、できれば悲劇じゃなくハッピーエンドで終わりたかったのかもしれないけど(そしてハッピーエンドでよかった!とも思っているのだが)、ちょっと尻すぼみ?っていう感じがしてしまった。それが残念。