りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

航路

航路〈上〉 (ヴィレッジブックス)

航路〈上〉 (ヴィレッジブックス)

航路〈下〉 (ヴィレッジブックス)

航路〈下〉 (ヴィレッジブックス)

★★★★★

うあーーー。面白かったーー。
コニーウィリスは「ドゥームズデイ・ブック」でヤラれて以来大好きな作家なんだけど、この「航路」はとにかくイイ!面白い!と評判も高かったので、こりゃもう面白くないはずがない、いやもうとにかくとんでもなく面白いんだろう!と、期待に胸をふくらませて読んだわけなんだけど、これがほんとに期待を裏切らない最高な作品であった。読んでいる小説が面白すぎて現実に戻りたくないという気持ちにさせてくれる実に危険な小説だった。あーー読み終わっちゃったよー。ううううー。

認知心理学者のジョアンナは、デンヴァーの大病院にオフィスを持ち、朝はER、午後は小児科と、臨死体験者の聞き取り調査に奔走する日々。目的は、NDE(臨死体験)の原因と働きを科学的に解明すること。一方、神経内科医のリチャードは、被験者の脳に臨死体験そっくりの幻覚を誘発する薬物を発見し、疑似NDEを人為的に引き起こしてNDE中の脳の状態を記録するプロジェクトを立ち上げ、彼女に協力を求める。だが、実験にはトラブルが続出し、やがて被験者が不足する事態に。こうなったら自分でやるしかない。ジョアンナはみずから死を体験しようと決意するが…。

頭脳明晰で「男らしい」魅力に満ちたジョアンナ、キュートだけど私生活に無頓着なリチャード、心臓病で入退院を繰り返す災害オタクの少女メイジー、ERに勤務する情にもろくて優しいジョアンナの親友ヴィエル、うさんくさい臨死体験本でベストセラーを飛ばすジョアンナの天敵マンドレイク。とにかく登場人物はみんな魅力たっぷりだ。
主人公はいつもばたばたと忙しくトラブルに取り囲まれ、敵役は常に主人公を追いかけ回し、次々と謎が提示されその謎を追いかけているうちに謎が解けたと思ったら次の謎が現れ、どうなるどうなる?とページをめくるのももどかしい…。いやまさにこれがコニー’s world!

とにかくこれでもかこれでもかと私たちに差し出される物語の海海海。今回は大病院が舞台で主人公ジョアンナの親友ヴィエルがER勤務なので、まさにドラマ「ER」を見ているような臨場感&スピード感もある。
そしてなんでこのタイトルが「航路」なんだ?と????でいっぱいになってきた頃に明らかにされる事実!うぉーーーだから航路なのか!!そして下巻半分ぐらいで、ぎゃーーーーそそそういう展開になっちゃうのーー?!

いやもうこれはほんとにただ読んでほしい。そして驚いてほしい。げらげら笑ってじーんとして最後は私と一緒に泣いてほしい。ブラボー。