りつこの読書と落語メモ

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シャルビューク夫人の肖像

シャルビューク夫人の肖像

シャルビューク夫人の肖像

★★★★★

好況に沸く19世紀末のニューヨーク。肖像画家のピアンボに突然声をかけてきたのは、両目が白濁した盲目の男。シャルビューク夫人の使いと称し、法外な報酬を口にして、肖像画の制作を依頼してきた。ただし、屏風の向こうで夫人が語る過去の話とその声だけで、姿かたちを推測しなければならない、という奇妙な条件付きで。謎の霊薬、人糞占い師、血の涙を流しては死に至る奇病の流行―夫人の荒唐無稽な語りを聞くようになってからというもの、ピアンボの周辺でも不可思議な事が次々と起こるようになり…。世界幻想文学大賞受賞作家による最高傑作。

肖像画家のビアンポは金持ちの肖像画を描いてそれなりの富を得ている画家。そんな彼がある日、「姿を見ずに肖像画を描いてほしい」という依頼を受ける。依頼してきたシャルビューク夫人は屏風の向こう側から自分の数奇な過去を語り始める…。

登場人物がみな魅力的で本当に生き生きと描かれている。ビアンボも、恋人のサマンサも、画家仲間でシャルビューク夫人の謎を一緒に追いかけてくれるヤク中のシェンツも、夫人の召使(?)のワトキンも、そしてシャルビューク夫人も。そのほかの脇役1人とってもみな生き生きしていて印象深い。
謎もたっぷりで読みながら「これはこういうことなんじゃないか?」「これはどうなんだ?」と目が離せない。
絵を描くシーンや画家同士の会話などもとても面白くて、物語に深みを与えている。
そしてなによりシャルビューク夫人の語る物語。これが本当に摩訶不思議で残酷で幻想的でたまらない。

いやもうほんとに何から何まで素晴らしくて、隅から隅まで楽しめた。期待を裏切らないラストも素晴らしかった。もしかしてこういうオチ?と思っていた私の想像を裏切ってくれて満足満足。
これは極上のミステリーだ!