長い日曜日
- 作者: セバスチアンジャプリゾ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/11
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
1917年1月第一次世界大戦のさなか、ソンムの前線で5人の兵士が戦死した。彼らのうちの一人マネクの婚約者であったマチルダが、彼らの身に何が起こったのか真実を知るために調査を始める、という物語。
ああ、これもとても好きな小説だった‥。
とても重いテーマで目を覆いたくなるようなシーンも多いのだが、主人公のマチルダが本当に明るくて不屈の女性で全くへこたれないのだ。彼女が恵まれた環境にあるっていうことも大きな要素になっていて、おかげで読んでいる側もちょっとだけ安心して読んでいられるという部分もあり。
作者は推理小説も書いているらしいのだが、確かに「謎解き」の面白さもふんだんにちりばめられているのだ、この小説。
さまざまな人の証言、そこに生じるズレが、最後パズルのようにぴたっぴたっとはまっていくのがとても気持ちいいのだ。
戦争という極限状態。悪意や残酷さ、不条理さには目を覆いたくなるのだが、そんな中にも人と人の心が触れ合う瞬間。きわどいところで持ちこたえる優しさ。そんなものが実にリアルに描かれていて、痛いんだけど気持ちいい。
すごい作家だなぁ。フランスでは人気作家らしいが、たしかにすごい作家だよ、こりゃ。
この作品は映画化もされているらしいし、ほかにも何冊か翻訳されているようなので、全部読んでみたいと思う。