りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

あのころ、私たちはおとなだった

あのころ、私たちはおとなだった (文春文庫)

あのころ、私たちはおとなだった (文春文庫)

★★★★★
久々に読んだアンタイラーの新作。

「むかし、あるところに、自分の思っていたのとは全然違う人間になってしまったと気付いた女がいました。」
自分の人生がどこかで間違ってしまったのではないかというのは誰もが思うことだ。アンタイラーの小説にはそんな女性がたびたび登場する。この物語の主人公レベッカもそうだ。

ありきたりなテーマなのかもしれないけれど、甘すぎず辛すぎないこのさじ加減が私にはたまらない。主人公にものすごく感情移入してしまって、読んでいる間、レベッカと一緒になってわくわくしたりいじけたり恥ずかしくなったりじーんとしたり‥。

きっと表現力がすごくあるんだなぁ。ちょっとしたセリフや、ちょっとした一行に胸が熱くなる。 ああ、これがたまらないんだわ、アンタイラーって。なんか久々に小説の世界に溺れる気持ちよさを味わったよ。