りつこの読書と落語メモ

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ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密

ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密

ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密

★★★★★

これはめちゃくちゃ当たりだった!
この題名と表紙でまず引いてしまう。しかしなんなんだろう、この表紙は。まるで、青春コバルトブックスかなんかのようなマンガチックな表紙。ちょっとあんまりじゃないだろうか、、。
私も以前「おもしろい!」と薦められていたからそれでもなんとか読む気になったのだが、知らなかったら読まなかっただろう。

母親に幼児期に虐待を受けたということをインタビューでつい口走ってしまい、それがもとで母親から「絶交」を言い渡された舞台作家シダリー。彼女はそれがもとで、情緒不安定に陥り、結婚式も延期してしまう。

そこへ仲裁に入るのが、ヤァヤァシスターズの3人。ヤァヤァシスターズというのは、シダリーの母親ヴィヴィを中心に、キャロ、ティーンシー、ニーシーという4人から成る親友グループ。彼女たちは、全員が8歳の時からの大親友で、町では知らない人がいないくらいの有名人。ヤァヤァズの3人は、シダリーのもとに、ヤァヤァズの思い出が保存してあるスクラップブック「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」を送り、母娘が仲直りできるようにはからう。

母親ヤァヤァズの回想と娘の記憶。ふたつの視点から、母と娘の心の痛みが少しずつ明らかになる、、という物語。

ヤァヤァズの豪快なエピソード。希望にあふれ光輝くような4人組。彼女たちは深い友情で結ばれ、その絆は非常に強い。
ヤァヤァズの中心的存在であるシダリーの母ヴィヴィは、美しく自信たっぷりでちゃめっけがあって、まさに太陽のような存在。しかし彼女は、決して恵まれているとはいえない家庭環境に育っていた。狂信的な母親。そんな妻を軽蔑し家族にも冷たい父親。そんなふたりの間にはさまれ、母から嫉妬される娘ヴィヴィ。彼女が無理やり修道院に入れられてしまう逸話は痛々しくて胸が痛くなる。

そしてそんなふうに母親から十分な愛を受けずに育ったヴィヴィは、自分が4人の子どもを持つようになったとき、精神のバランスを保つことができなくなってしまう。そしてお互いの心に深い傷を残す事件がおきてしまう、、、。

しかし、ヴィヴィは決して「すばらしい母親」ではなかったかもしれないが、それでも溢れるような愛情を子どもたちに注いでいたことも確かなのだ。それが、母と子の両方の記憶から徐々に明らかになって行く。

全体のトーンとしては非常にユーモラス。ヤァヤァズの豪快な活躍は読んでいて気持ちがすっとするし、思わず声をあげて笑ってしまうようなおかしい話もたくさんある。しかしときに、思わず涙が溢れてしまうような胸が痛くなるような話もある。

決して一本調子でない、いろいろな顔を持った小説なのだ。ラストはもう泣けて泣けてしょうがなかった。