白夜行
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 単行本
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続きが気になって、読み終わるまでなにも手に付かなくなる作家がいる。私のばあいは、東野圭吾と宮部みゆきがそう。通勤時間に読み終わらずに帰ってきたりすると、気になって気になって、踏切があくまでのわずかな瞬間にも、本を取り出して続きを読んでしまう。それはもう、とても楽しみにしていたドラマを途中で停止ボタンを押して止めているような 気持ちになる。だから絶対にどんな長い本でも、1日で読み終えてしまうのである。
この本は、次々に人が登場し、さまざまな事情が語られ、そして事件がおこる。それらの人々の関連は、明らかにされるものもあれば、明らかにされないものもある。登場人物が抱いた不信感や悪意のようなものを、読者もちょっとした事柄や会話から知らないうちに感じさせられている。するとまた次の事件がおこり、、、。あちこちに伏線が張られ、関係ないように思えた人々が事件を中心につながっていって見事。
作者は非常に突き放した視線で書いているんだけど、彼らのつぶやく一言(それが題名にもつながっている)で、悲哀がうかびあがってくるようで、すごい筆力だと思った。
でも、おセンチな私には結構キビシイ本だった。 主人公に心をよりそえなかった分、寒々とした読後感‥。