心臓を貫かれて
- 作者: マイケルギルモア
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/10
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殺人を犯して自ら死刑を望み、実際にユタ州で死刑になった兄ゲイリーを持つフリーライターの弟が書いたノンフィクション。翻訳は村上春樹。
なぜ兄は殺人を犯したのか、家族になにがおきていたのか、作者自身も当事者であるため、書くのは相当つらい作業だったと思うが、逆に書かないではいられなかったのかもしれないなあ、とも思った。
子供に対してひどい虐待を繰り返す父母、どんどんすさんでゆくゲイリー。同じような虐待にあいながら、優しさを失わなかった長男フランク。そして一人だけ父の溺愛を受けて、そのために「まともに育った」ことに阻害感を感じている作者マイケル。宗教の問題もかなり密接に絡んでくるため、結構読みづらいところもあった。でもそこを外す事はできなかったんだろうなあ。
マイケルが行方不明になっていた長兄フランクと再会するシーンは、もう涙が止まらなかった。
人間の尊さと邪悪とはなにか、家族とは親とはなにかということをつくづく考えさせられた。