りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

五街道雲助独演会「お直し」を聴く

1/25(土)、社会教育会館で行われた「五街道雲助独演会『お直し』を聴く」に行ってきた。


・あられ「まんじゅうこわい
・雲助「身投げや」
・雲助「初天神
~仲入り~
・雲助「お直し」


雲助師匠「身投げや」
何度見ても面白い。
身投げを止めてくれた人を頭から足の先までじっくり見て値段を決めるのがおかしいし、「こいつは金持ちだ」と見込んで言った額の半分しか持ってないと聞いて「値切るとはあんまりじゃぁねぇか」と言うのにも笑ってしまう。
後から出てくる父子がどこをどう見ても怪しいのもおかしくて、楽しい~。

話し終わったあとにいったん引っ込むと思ったのか音楽が鳴ったのを止めて、そのまま二席目…というのもなんか贅沢で嬉しい。


雲助師匠「初天神
今日は1月25日。今日「初天神」をやらないでいつやるんだ、と言いながらの「初天神」。うわ、雲助師匠で「初天神」ってなんかとっても珍しい気が。
金ちゃんがちゃっかりしているけど、父子のやりとりがしつこくないのがとても雲助師匠らしくて好き!
飴買っておくれよと言われて「買わないって約束だろ」と言うんだけど「そんなに高いもんじゃねえよ」と言われると「ま、それもそうだな」。
飴を舐めながら選ぶところもあっさりしているから、「ああ、ついやっちゃったんだな」感。
だんご屋に声をかけると「いらっしゃーい」と地の底から湧き出たような暗い声。
「お前なんだ客商売のくせにそのやる気のない声は。みつちょうだい。え?そんなするの?」と受け取って「あーみつが垂れるじゃねぇか」と舐めはじめて、なめながらだんご屋に小言。ああ、これも自然に舐め切っちゃった(笑)。

凧をねだられた時はもうおとっつぁんめんどくさくなちゃって言いなり(笑)。
「大きい凧は売らねぇんだよな?」と凧屋に聞くと「いいえ、売りますよ!」。
そう言われて「てめぇら、グルだな」。

凧を上げ始めるとすっかり楽しくなっちゃって隣の子どもに「じゃまだからどけ。え?どかない?やるのか?」と言って凧で喧嘩。「ほーら、糸が切れて飛んでいっちまいやがった。ざまぁみろ!」。

子どものような父親がとてもチャーミングな「初天神」だった。なによりくどくなくていい!


雲助師匠「お直し」
売れなくなってきて落ち込んでいるところに優しい言葉をかけられてほろっとなる花魁。
店の主人のお慈悲で二人でそのまま働けるようになって徐々に家財道具も揃って働くことに張りが出てくる女に反して、遊ぶようになる亭主。
すっからかんで帰って来た亭主に「けころ」をやろうと言われ、渋々ながら承知。
出る前に化粧をする姿の色っぽさ…。そして声を掛けていい客かどうかを見定める手慣れた様子に、この女が若いころに相当な地獄を見て来たことをうかがわせる。

入って来た客は気のいい酔っ払いの職人で、このやりとりの部分が明るくて楽しくて和得るところが好き。
亭主の焼きもちで「直してもらいなよ」と言われても「ずいぶん直しがはやいな」と言いながら言いなりになってほくほく金を出すのが可愛らしい。

それだけに二人になってからの会話に涙涙。
とてもよかった。雲助師匠の「お直し」はほんとに絶品だなぁ。