りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

短編画廊 絵から生まれた17の物語 (ハーパーコリンズ・フィクション)

 

 ★★★★★

米国を代表する名画家、エドワード・ホッパー(1882‐1967)。作家ローレンス・ブロックは、ホッパーの作品は「絵の中に物語があること、その物語は語られるのを待っていること」を強く示唆していると語り、ホッパーの絵から物語を紡ぐこの短編集を考えついた。彼の呼びかけに集まったのは、スティーヴン・キングジェフリー・ディーヴァーマイクル・コナリー、リー・チャイルド…といった錚々たる顔ぶれ。各々の個性を遺憾なく発揮した華麗なる文豪ギャラリーが、ここに幕を開けた―。2017年アンソニー賞Anthology部門最終候補。2017年MWA賞受賞(L・ブロック作『オートマットの秋』)。

○収録作品

「ガーリー・ショウ」ミーガン・アボット 小林綾子
「キャロラインの話」ジル・D・ブロック 大谷瑠璃子
「宵の蒼」ロバート・オレン・バトラー 不二淑子 訳
「その出来事の真実」リー・チャイルド 小林宏明 訳
「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー 大谷瑠璃子
「夜鷹 ナイトホークス」マイクル・コナリー 古沢嘉通
「11月10日に発生した事件につきまして」ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子 訳
「アダムズ牧師とクジラ」クレイグ・ファーガソン 不二淑子 訳
「音楽室」スティーヴン・キング 白石 朗 訳
「映写技師ヒーロー」ジョー・R・ランズデール 鎌田三平 訳
「牧師のコレクション」ゲイル・レヴィン 中村ハルミ 訳
「夜のオフィスで」ウォーレン・ムーア 矢島真理 訳
「午前11時に会いましょう」ジョイス・キャロル・オーツ 門脇弘典 訳
「1931年、静かなる光景」クリス・ネルスコット 小林綾子
「窓ごしの劇場」ジョナサン・サントロファー 矢島真理 訳
「朝日に立つ女」ジャスティン・スコット 中村ハルミ 訳
「オートマットの秋」ローレンス・ブロック 田口俊樹 訳

*エドワード・ホッパーの絵画18点をフルカラーで挿入

 

面白かった!バラエティ豊かなアンソロジーであるとともにエドワード・ホッパーの絵から生まれた物語だからなのか…独特の不穏な空気感が流れる物語が多い。
エドワード・ホッパーの絵には語られるのを待っている物語があることを示唆している、というのがこの本の編者ローレンスブロックの言葉だが、確かに物語を秘めているような絵だし、物語を読んでから改めて絵を見ると、もうそうであるとしか思えなくなるというのも面白い。

好きだったのが「宵の蒼」(ロバート・オレン・バトラー)、「海辺の部屋」(ニコラス・クリストファー)、「夜鷹」(マイクル・コナリー)、「アダム牧師とクジラ」(クレイグ・ファーガソン )、「映写技師ヒーロー」(ジョー・R・ランズデール)、「夜のオフィスで」(ウォーレン・ムーア )、「窓ごしの劇場」(ジョナサン・サントロファー)、「オートマットの秋」(ローレンス・ブロック)。
よく読んでいる作家…ジェフリー・ディーヴァースティーヴン・キングジョイス・キャロル・オーツの作品もどの作家のカラーが出ていて面白かった。

最後に収められた編者ブロックの作品「オートマットの秋」がこのアンソロジー全体をきちっとあるべき場所におさめた印象があってさすが!