りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アタラクシア

 

アタラクシア

アタラクシア

 

 ★★★★

擦り切れた愛。暴力の気配。果てのない仕事。そして、新たな恋。ままならない結婚生活に救いを求めてもがく男と女―。芥川賞から15年。危険で圧倒的な金原ひとみの最新長編。 

美しさを武器に刹那的に生きてるように見える由依。由依に夫がいることを知りながら会い続ける瑛人。浮気を重ねる夫と反抗的な息子、文句ばかりの母に苛立つ英美。DV夫から離れられず息子を心配しながらも不倫を重ねる真奈美。そして真奈美からは優しい愛人に見えた荒木も…。

恋愛して結婚して幸せに暮らしました、めでたしめでたしではない。結婚はゴールではないし、お互いの事情も変われば関係性も変わっていく。

自分のその時の感情で突っ走ってしまったり、どうにかしなければと思いながらも身動きができなくなったり、自分で作った家族なのに何もかも放り出して逃げたくなったり。人間というのはほんとに弱くて愚かなものだな。

この内容でなぜタイトルが「アタラクシア」なのか。考えてしまう。