りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第381回 圓橘の会

12/21(土)、深川東京モダン館で行われた「第381回 圓橘の会」に行ってきた。
 
・萬丸「王子の狐」
・圓橘「御慶」
~仲入り~
・圓橘「大つごもり」
 
圓橘師匠「御慶」
年末ジャンボ宝くじ1等が3億円の頃は奥さんと一緒に買っていた。
「当たったらちゃんと言えよ」なんてお互いにけん制しあったりしていたけど、あまりに当たらないので諦めた。
そんなまくらから「御慶」。
おかみさんがきついのがすごくおかしい。
「いやだよっ!」「そんなに富が好きなら富と一緒になればいい!あたしゃもう別れるよ!」。
夢から自分が割り出した番号がすでに売れてしまっていたと分かった時、「誰が買ったんだ?」と聞いて「ああ、(家主)たろべえのところの(店子)じろべえか」とがっかりするけどわりとあっさり諦める。
帰り道「あの金はじろべえにくれてやらぁ」と言いながらも「ああ、これで女房は出て行っちゃうだろうなぁ」と奥さんに未練が残っているのがおかしい。
易者に声をかけられて「富くじのことで」と言うと、易者に「ああ、富はいけません。そういうのはやらない方がいい。まじめに働きなさい。それに限る」と言われ、「そう言うなよぉ」と言うのがなんかかわいらしい。
富が当たってからも「おっかぁ!!」とおかみさんまっしぐらに帰る面白さ。
 
大家さんのところにお金を持って行ってからはひたすら陽気で楽しい。
「ぎょけい!!」の声の高さと「上がれって言ってくれよ。言わないと先に進まないよ」と求めるのが楽しかったー。
 
圓橘師匠「大つごもり」
これを初めて高座にかけたのは20年ほど前のこと。
その時には70代ぐらいの一葉ニスト?の女性が何名か見に来ていて、ホール宛てにお叱りの手紙を送ってきたことがありました。「あなたのお峰には深みがない」とかなんとか…。
ものすごい「いい手」でした。
一葉は落語を見に行ったりすることもあったのかなかったのか。
短い物語だけど漢文調の硬い文章で…若いころはそうでもなかったですけど、今回読み直してみて…かなり苦労しました。
 
そんなまくらから「大つごもり」。
口入れやのお金ばあさんが奉公先を探しに来たお店に向かって、とあるお屋敷での奉公を世話する。
ここはお子さんが4人いるけれど長男はもう家を出ているし家にいる3人ももう大きくなっているからそんなに世話が大変じゃない。
ここの奥様は非常なケチで口うるさい人だけどうまくやって可愛がられればなんとかなるから頑張りなさい。
御主人は鷹揚な方だからお小遣いは御主人にねだりなさい。
とにかく辛抱するんですよ。でも辛かったら別の奉公先を世話することもできるからここに来なさい。
送り出されたお峰が行ったお屋敷は奥様がケチで結構きつい人だったけれど、お峰は文句ひとつ言わずに働いた。
というのは、小さいころに父を亡くしその後母も病気で亡くし、叔父の家に引き取られた、という苦労人。
叔父の家には三之助という8歳離れた子どもがいたが、お峰はその子を自分の弟のようにかわいがっていた。

ある日珍しく奥様が奉公人も連れて芝居見物に行こうと言い出したので、お峰は病気をした叔父が心配なので見舞いに行きたいと申し出ると、奥様はそれを許してくれた。
久しぶりに行ってみると叔父は患って床につき、暮れに高利貸から借りた金を返せないとこの長屋にも住んでいられなくなる、と言う。
どうかお屋敷の奥様にお願いしてお金を借りてきてほしいと言われたお峰は「承知しました」と言う。
奥様の機嫌のよさそうな時を見計らって話をすると「わかりました」と奥様。

みそかの夜、ほろ酔いで家にやってきたのはこの家の長男。長男は先妻の子なのだが、財産は今の奥様の子どもたちにやると言われていて、それが面白くない長男はしょっちゅうこの家にやってきては金をせびる。
この日も年の瀬に金をせびるつもりでやってきて居間のコタツで高いびき。
そこへ戻ってきた奥様。長男の姿を見るととたんに機嫌が悪くなる。
そこへお峰が「この間お願いしたお金を…」と申し出たものだから「誰が貸すと言った?私はそういう話なのか、わかりました、とそういっただけだ」と撥ねつける。
しばらくするとここの家作の大家が店賃を持ってくる。それを手文庫に入れるようにと申しつけられたお峰。言われた通り手文庫に金を入れる。
しばらくすると弟の三之助がお金を取りにやってくる。追い詰められたお峰は、いけないことだとは知りながら先ほど手文庫に入れた金に手を出してしまい…。
 
…ドキドキしながら聞いていて、最後のところで涙涙…。
くーーーー。こういう「落語」が聴けるってほんとに幸せ。圓橘師匠ってほんとに素敵だな…。
しかも終わった後にまた江戸時代の法律に詳しい「先生」を呼んで、江戸から明治の初めの頃の「盗み」の罪の重さについての解説。
それを聞いて、よけいにこの物語の感動がじわじわと…。
よかったー。来年もまたできるだけ通いたい。圓橘師匠の会。