りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治・柳家三三 親子会

12/12(木)、関内ホールで行われた「柳家小三治柳家三三 親子会」に行ってきた。


・こごと「道灌」
・三三「紋三郎稲荷」
~仲入り~
小三治湯屋番」

 

三三師匠「紋三郎稲荷」
膝が痛くて近所の外科へ行ってきました、と三三師匠。
受付にいたのは60代ぐらいの男性。この人が先生なのかな、と思っていると中から出てきたお医者さんは優に80代は超えていそう。
噛み合わない会話に震える手で膝に注射。
その後先生に「正座をしても大丈夫ですか」と聞くと「だめ!正座なんてもってのほか!」
「いやでも…しないわけにいかないものですから…」
「そんなことないでしょう!今は椅子で事足りるでしょう!」
「いやその職業柄正座は必須なんで…」

なんて会話をしていると後ろからさっき受付にいたおじさんが「あなた落語家だ!どっかで見たことある!そうでしょう?私落語好きなんですよ。詳しいんですよ。ちょっと有名でしょう?」
「え、ええ…?」
「でも名前が出てこないな…ええとええと…お名前は?」
「ああ、三三といいます」
「え?さんざ?え?…上は?」
柳家です」
柳家さんざ?…へー」

…落語好きで落語詳しいけど私のことは知らなかったみたいです…。

その後に入って来たおばあさんとのエピソードもおかしかった。
長めのまくら。三三師匠もししょうにならってまくらがながくなってきた?(笑)。
ちゃんとオチまであってよく考えられてる印象だった。

そんなまくらから「紋三郎稲荷」。
狐の胴巻きを着た侍を本物の狐と勘違いする俥屋の様子がおかしい。
お狐様を信仰する宿に泊まって手厚くもてなされお賽銭までもらっちゃうのが楽しい。
面白かった。

 

小三治師匠「湯屋番」
この季節に横浜に来ると私が思い浮かぶ歌はあれですね…と公園の手品師。
でもマネージャーに言われちゃった。「師匠、歌い過ぎです!」
いいじゃないの、同じ歌をまた歌っても。でもだめだって。
横浜はいろんな歌がありますね。♪よこはま~たそがれ~♪ なんて1フレーズ歌って途中で歌詞がもやっとなって「だいたいね。落語のセリフだって忘れちゃうんだから。歌の歌詞なんて覚えていられねぇよ」。

それから、横浜と言えばあの夫婦ですね…。あの夫婦はいいよねぇ、二人で好きなことしてさ。
FM雑誌の企画であの旦那の方…ほらあの…そう、宇崎竜童と対談したことがあったんですよ。
くそして屁して…なんて歌うたってるからどんな奴が来るのかと思っていたら、すごくまじめな腰の低い普通の人でね…安心しました。

なんて話をあれこれしたあとに、80歳の誕生日に本が出るという話。「別に買わなくていいよ」と言いながら、「岩波書店っていうのはね本屋から頼まれねぇと本を置かないんですよ。高飛車でしょ?だから本屋で見ることも難しいかもしれない。だからきっと売れないですよ。でも今まで出た中で一番いい本になってますよ、きっと。そんな気がする」

…そこまで言われたら買わないわけにはいかないでしょう。って言われなくても絶対買うんだけど。

それから横浜から江の島へ…高3の時に演芸番組の賞品でもらった自転車に乗って自宅から江の島まで走って来た、という話。
初恋の人が父親の会社の保養所かなにかが江の島にあるからそこに泊まりにこない?と誘われたのだけれど、自分の家はとても固い家で泊まりなんか許してもらえるはずもない、といったんは断ったものの、自転車が手に入ったので…しかもサイクリング車…乗ると前のめりになるあのかっこいいやつですよ。
早朝に出て江の島に着いたのは12時頃でしたか。もう江の島は佃煮にするぐらい大勢の人。この中から彼女を探すことなんかできるんだろうかと思いかけた時、その彼女がね、海岸から現れたんですよ、私の前に。宿舎に帰るところだったんでしょうか。
こんなことってあります?!運命だよ!!安い映画じゃないんだから!

というのをね…同窓会で再会した彼女に話したんですよ。そうしたら「あら…そんなこともあったかしらね」だって!
ひっぱたいてやろうかと思ったよ!

なかなか名前が出てこなかったり歌詞が出てこなかったりするたびに「今日はね、だめです」「ま、そうはいってもいつもだめなんだけど」とか言いながら、「今日は若いころに覚えた噺をしようかな。思い出し思い出ししながら」

…そういったかと思うと、若旦那が居候先の親方に呼ばれるところ。
季節外れの「船徳」?と思って聞いていると、これは…「湯屋番」!!小三治師匠を追いかけて見に行くようになって5年?ぐらいになるけど、まだ一度も生で聴いたことがなかった噺!

若旦那がいかにも軽くて女好きで遊び好きなのがにじみ出てる。
その若旦那が居候先のおかみさんからおまんまを十分にいただけてないというのを親方に語るのがすごくおかしい。
「たたき飯ののし飯のそぎ飯のこき飯」なんか恨みがこもってるんだなぁ…。
さらにおまんまは隣の家の新内の師匠の家でもらってると聞いて親方が「そんなことしてもらっちゃ困る」と言うと、それもお腹が空いたからとは言わずに「魚の骨が喉につかえて」と言って遠回りをしていただいてるんだ、と胸を張るおかしさ。

湯屋に着いてから主とのやりとりはいかにも若旦那の甘さが出ていておかしい。
「煙突掃除の泥の助」じゃ見栄を切ってもかっこがつかない、と言ってそのしぐさをやるんだけど、なんだろう…こう若手が「腕の見せ所」と作ってやってる感じとは全然違う。そんなにかっこつけたりしない…さらっとやってるんだけど、かっこいいんだー。

番台に上がってから、男湯をのぞいて文句を言うんだけど、一人一人に声をかけて小言を言うのがすごくおかしい。さすが小三治師匠の若旦那!って思って大笑いだった。

妄想の部分も無理にはしゃいだ感じがないんだけど、女にもて慣れてる若旦那が結構リアルに妄想しているのがすごくおかしい。
時々にこっと笑ったり、にやけるのが、かわいいんだ。
初恋の人の話をしたせいなのか、若いころによくかけていた噺だからなのか、すごく若々しくてびっくりした。

この間江戸川落語会でのんびりした田舎の情景を渋く描いた小三治師匠が、今度は女好きの若旦那になって一人ではしゃいでいる。
落語ってすごいなぁーとしみじみ感じたし、小三治師匠の会はやっぱりできるだけ見に行かなくちゃ!と思ったのだった。

あーいいもの見た!