りつこの読書と落語メモ

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ブッチャーズ・クロッシング

 

ブッチャーズ・クロッシング

ブッチャーズ・クロッシング

 

 ★★★★★

ストーナー』で世界中に静かな熱狂を巻き起こした著者が描く、十九世紀後半アメリカ西部の大自然バッファロー狩りに挑んだ四人の男は、峻厳な冬山に帰路を閉ざされる。彼らを待つのは生か、死か。
人間への透徹した眼差しと精妙な描写が肺腑を衝く、巻措く能わざる傑作長篇小説。

裕福な司祭の息子として育ちハーバード大学に在学していたアンドリュースは、エマソンの講演を聞いて彼の自然観にあこがれを抱き、自然をもっと知りたいとボストンからブッチャーズ・クロッシングにやってくる。
アンドリュースがミラーという一匹狼の猟師に誘われて、総勢4人でバッファロー狩の旅に出る。

自分のあこがれていた「自然」と実際に体験する「自然」のすさまじさに徐々に正気を失っていく4人の男たち。

普段は冷静なミラーがバッファローの大群に遭遇して、とりつかれたように殺戮を繰り返すところは、金や欲だけではない人間の本能があらわれているようでぞっとした。
一緒に旅をした他の3人とも極限状態をともに過ごしたというのに距離を縮めることもなく分かりあうことなく、それぞれが損なわれていく。
それを淡々とした筆致で丁寧に描いていくジョン・ウィリアムズという人はいったいどんな人だったんだろうか、と思う。

人間の無力さに絶望を感じるがそれでも人生は続いていく。

ストーナー」とは全く違う物語だったが流れる空気は静かで重い。素晴らしかった。