りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場12月上席夜の部

12/5(木)、鈴本演芸場12月上席夜の部へ行ってきた。
 
・さん喬「天狗裁き
・文菊「やかんなめ」
~仲入り~
・小猫 動物物まね
・馬石「野ざらし
・アサダ二世 マジック
・雲助「夜鷹そば屋」
 
さん喬師匠「天狗裁き
ショートバージョンだけど、最初から最後まで完璧に面白い。何度も見ているけど毎回笑ってしまう。
リズムがいいから音楽を聴いてるようにノッてきて上がる感じ。すごいなー。
 
文菊師匠「やかんなめ」
めちゃくちゃ面白かった。
女中がほんとに女らしくてかわいいから、それが侍に向かって「おつむりをなめさせてください」と言うおかしさ。
侍が大きな声で「あいわかった。みなまで言うな」とあれこれ勝手に察して言ってただけに、自分の禿げ頭がやかんにそっくりだからなめさせてくれと言われて「無礼な!」と怒り出すとドキッとするんだけど、それを見て伴の者が笑い出すところでほっとする。
頭の差し出し方もなんともいえずおかしかった。
 
小猫先生 動物物まね
物まねはもちろんだけどトークが面白くて最高。すごい工夫されてるなぁ、といつも思う。大好きだ。
 
馬石師匠「野ざらし
とっても独自な「野ざらし」でとっても面白かった。
はっつぁんに問い詰められた先生はあっさり女が来たことを認め、肩を叩いたり脚をさすらせたりはせずに「それよりも一緒に飲みましょう」と酒を飲んだ、「楽しかったから今晩も来てほしいと思って酒を用意して待ってる」「これからわしは釣りはやらん。イロの道に行く」 ときっぱり言うのがおかしい。
先生から借りた釣り竿がとても上等だったから、釣りをしている人たちが注目して見ていると、釣り糸の垂らし方もわからなくてはっつぁんが妙なしぐさをするのもすごくおかしい。
見ている人もとても親切だったり、はっつぁんもわりと礼儀正しいのも、馬石師匠らしくて楽しい。
そして「さいさい節」がすごく上手くて素敵!歌ってるうちにどんどんテンションが上がってくるのも楽しい。
 
いやーさすが馬石師匠だなぁ。「野ざらしって大好きなんだけどほんとに難しい噺だなぁと他の噺家さんで見ると感じるんだけど、とても面白かったし客席もすごいウケてた。
 
雲助師匠 「夜鷹そば屋」
何年かぶりにようやく聴けた。
おしゃべりなおかみさんと人のいい亭主の会話がいい。子どもはいないけどその分夫婦が二人で長年仲良く語らってきたことが伺える。
そばを食べに来た男がすごくいい男なんだろうなぁというのが目に浮かぶ。静かな諦念が漂っている。
そういう男を警戒することなく何か手を貸してやりたいと夫婦の想いが一致するところに、この夫婦の仲の良さが見えて好きだ。
 
家まで運んでもらって差し向かいで酒を飲みながら、亭主が「ちゃん、と呼んでほしい」と言い出してからの流れに、じーん…。
小言を言わせてほしいというあたりからもう涙が…。
こんな情のある言葉をかけられたら、それまで誰にも甘えることができなかった男が思わず…となるのも納得がいくし、そう言われて手放しで喜ぶ夫婦の善良さに心洗われる想い。
雲助師匠の優しさとか父性がじんわりとにじみ出ていて、素敵な 「夜鷹そば屋」だった。
よかったー。