りつこの読書と落語メモ

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柳家さん喬・さん助親子会

12/1(日)、水戸芸術館で行われた「柳家さん喬・さん助親子会」に行ってきた。

・木はち「寿限無
・小んぶ「子ほめ」
・さん喬「掛取り」
・さん助「浜野矩随」
~仲入り~
・さん助「壺算」
・さん喬「芝浜」

 

さん助師匠「浜野矩随」
噺に入る時、声の調子が少し高くなる。聞いてる側もぴん!と緊張する。うわ、びっくり!「浜野矩随」だ!さん助師匠で聞くのはもちろん初めて。

若狭屋さんが人情味があって気のいい人であることが最初の会話で伝わってくる。
それが三本脚の若駒を「こういうのも面白いと売れるかと思って」持ってきたと言う矩随の言葉に「ああ、こいつはもうだめだ」と思い「他の商売をやったらどうか。支度金は用意してやるから」と言う。
そういわれた矩随が「でも私は職人なので他のことはできません」と答えると「お前のどこが職人なんだ!」とついに怒りを爆発させる。

家に帰ると待ちわびていた母親がすぐに矩随に何かあったことを悟る。
話をすると「ひどいことを言うね」と言いながらも「立派に死になさい」という言葉をかける。
矩随は母親思いで優しいけれど甘さが見えて、そこがとてもリアル。
母親が用意した踏み台に上がって首をくくろうとした時に、母親が「ちょっと待っておくれ。私に何か一つ形見を残してほしい」。
それならば三本脚のがありますよ、としれっと答えるのが面白い。
そうではなくて父親が得意にしていた観音像を彫ってくれという母親にそんなもの彫れるわけがないと矩随。
今までとは違う、死ぬ気になって彫るのだと言われて、ようやくその意味を考える矩随。
すぐには彫り始めず21日の間、願掛けをして、その後7日間寝ずに彫り続ける。
ようやくできた観音像を母親に見せると母親はそれを見てやっと矩随が魂のこもった作品を作り上げたと思う。
そしてこれを若狭屋に持って行って五十両で売れ、と言う。言われた矩随が「若狭屋には行きたくない」と言うのもまだ甘さが残る矩随が出ていて面白いと思った。

若狭屋の小僧の定吉が店の前を箒で掃きながら「矩随さんが面白いものを彫って持って来なくなっちゃってつまらないなぁ」と独り言を言っているのもおかしいし、「主にあそこまで言われたのだから矩随さんは死んじゃったんだろうなぁ…化けて出ないといいなぁ、そういえば小僧仲間と話していた時に化けて出るのは夜中だろうと言ったらそうじゃないこれぐらいの時刻に出るんだと言ってた…」とつぶやいて、現れた矩随を見て悲鳴を上げるのがおかしい。
矩随が訪ねてきたことに気づいた主が平謝りをするのも人柄がにじみ出ていていいなぁ。

矩随が差し出した観音像を見て父親の彫ったものが出てきたと思い込んで「名人の彫ったものは見ただけでわかる」と大喜びで五十両で買い、矩随が何か言おうとすると「たまには儲けさせてくれたっていいじゃないか。なにせこっちはみかん箱13箱(矩随の駄作を)引きうけてるんだから」と言うのも茶目っ気があってかわいい。
これを矩随が作ったと聞いて、主が心の底から喜ぶのもいいなぁ、と思った。
水盃に気づいた主がすぐに矩随を帰して、母親が助かったのもよかった…(助からないバージョンより助かるバージョンの方が好き)。

結局は若狭屋の主のきつい言葉と母親の死ぬ覚悟が矩随を目覚めさせたのだなぁ…。
途中ちょっとぐずっとなったところもあったけれど、さん助師匠らしい「浜野矩随」でよかったー。

 

さん助師匠「壺算」
二ツ目の頃はよくかけていたようなんだけど、生で聴くのは初めてで嬉しい。さん助師匠の「壺算」。
兄貴分が語る「買い物のコツ」が説明下手のさん助師匠らしく、なんか分かりにくいのがご愛敬(笑)。
その時にされたたとえ話を意味も分からず馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す弟分がおかしい。
なんかみんながみんなガチャガチャしていて慌てていて、妙におかしい「壺算」だった。わはははは。

 

さん喬師匠「芝浜」
1席目が「掛取り」でトリネタが「芝浜」って、さすがさん喬師匠は技術と体力があるなぁ…。すごいわ。

さん喬師匠の「芝浜」は初めて聴いたけど、すごくよかった。
おかみさんが無駄にめそめそしてないのもいいし、かっつぁんも気持ちのいい人物。
おかみさんに財布を拾ったのは夢だったと言われて、何度か言い返すんだけど、「あ、夢か…」とあっさり受け入れるのが、この人の人の好さを表していて素敵だな。
おかみさんが何度も「河岸へ行っておくれよ」と言うのにも、お金に困るから働いてほしいんじゃなくて、魚屋の仕事をしている亭主のことを尊敬していて大好きなんだなということが伝わってくる。

みそかのシーンで、おかみさんが拾った財布をネコババしたことでお縄になって殺されてしまうのが怖かった、と言うのも、財布なんか拾わなきゃよかったのに…これが夢だったらよかったのに、と語るのも、とても納得感があった。
「あたしのお酌じゃ…」というセリフもさらっとしていていやらしくなくてよかったな。(このセリフ、嫌い)