りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治独演 銀座ブロッサム

11/4(月)、銀座ブロッサムで行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。
 
・三之助「のめる」
小三治「死神」
~仲入り~
小三治「小言念仏」
 
小三治師匠「死神」
出囃子が鳴ってもなかなか出てこない小三治師匠。
前もこの会場でそういうことがあってその時はエレベータで間違って上に行ってしまったとおっしゃっていたので今回もか?
この日はテープではなくお囃子さんが来ていたようで、「二上がりかっこ」 が エンドレスで流れるのがなんともシュールでちょっと笑ってしまった。
 
出て来た小三治師匠、前方の三之助師匠に不満たらたら。
なんでも出る前に「のめる」をやると聞いていたので「20分やれ」と言ったのに、18分で降りてきやがった、と。それでも真打か?!
…でもこの小言がまた後で効いてきてすごくおかしかったんだな…
 
この日は昼の会だったんだけど「1時って落語やる時間ですか」。
まだ全然目が覚めてない。だってラグビー観るのに忙しいから。
ちょっと前からラグビーって面白いなぁと思っていたんですけど、今回のワールドカップ。まぁ面白い面白い。
夢中になって試合を見て試合終わったら録画でまた試合見てチャンネル変えてニュース見て。
…あら、この間小はぜさんが言ってたのとおんなじ(笑)。
 
それからラグビーの魅力について熱く語る小三治師匠。
そもそもボールがあんなふうに不安定な形をしているのが面白い。
ルールが厳しくて反則すると大変だということを選手たちがよーくわかってるからその緊張感もいい。
タックルして押し合いへし合いになって団子になったときに、一番下でボールを持ってる選手はそのまま持ってたら反則。前に投げても反則。だから団子の一番下でタイミングと位置を判断してしゅっと出す。
また「行ってもいい」というタイミングになったら全員が死ぬ気でタックルしてくる。あれがたまらない。言うなればグラウンド全体が土俵みたいなもん。もうね、すごいよ。あの勇気。見てると血沸き肉躍る。
しかも怪我していったん下がってもまた復活して出てくるでしょ?あれも面白い。
 
…こんなに夢中になって。この好奇心が小三治師匠を今も少年のようにキラキラさせているんだろうなぁ。
私もほんとににわかで日本戦を2試合見ただけだったけど、それでもラグビーってこんなに面白いんだ!と驚いたし、「ぬおおおおお!」と血沸き肉躍る場面もたくさんあった。
だから小三治師匠が熱く語ることが「わかる!」「なるほどそこが私にも面白いんだ!」とうなづけて、シンパシー。
 
そして前にここの会場で聞いたことがあった大会帰りの日本選手団とパリの空港で一緒になった話
重い荷物を持って階段をえっちらおっちら上っていると、選手なのかボールボーイ(笑)なのか、師匠と身長は変わらないぐらいの人が近づいてきて「僕が持って上がりますよ」。
「いや、大丈夫」と言ったのだけれど、「いいっすよ!」とひょいっと荷物を持って階段を駆け上がって行った。
ものすごく助かったしすごく感じのいい爽やかな青年だった。
まぁきっとボールボーイか補欠の選手だろうとその時は思ったけど、その顔は忘れられなかった。
そうしたら…ワールドカップ見ていたら…出ていたんですよ、その人が!見つけた時は「うぉおっ!」と声が出たよ。
最初からは出てないんです。途中で交代して出て来る。
身体は大きくない。だけど大男たちに囲まれてだんごの1番下になっても冷静にボールを出す。
ゴールに向かって爆走する選手に向かって実に正確なパスを出す。そのタイミング、スピード、ボールの強さ。すごい選手だったんだよ。
選手の名前は田中史朗選手。もうね、ファンだよ、私は。応援するよ。みなさんも応援してください。
 
…さすが小三治師匠、ほんとにその魅力を生き生きと伝えるこの話術…。素晴らしいなぁ。
とうっとりしていると、舞台袖から「師匠!」の声。
出たー(笑)。またマネージャーから「ここは時間が厳しいので!」。
「え?そんなに?そんなに長くしゃべってた?あら…」と師匠。
しばらく固まってるなぁ…と思っていると、「お前さん、やっと帰って来たね」。
おおお、落語に入った!これは…「死神」?!
声かけられて少しだけ固まっていきなり噺に入るって…しかも「死神」って…。
 
小三治師匠の「死神」は何回か見ているけど、死神にユーモアがあって大好き。
怖いし不気味さもあるんだけど、最後に現れて「お前はなんてことをしてくれたんだ」と言う時も「お前のおかげで俺はボーナス減らされちゃった」。
蝋燭に火を移そうとするときも「ほーら、早くしないと消えちゃうよ。消えるとお前は死ぬよ」とちょっと楽しそう。
またこの日は男が三千両がどうしても欲しくてどうにかできないかと考え抜いて「ぴかっ!」と自分で思わず言ったのもおかしかったなぁ。
 
時間もたっぷりとって渾身の「死神」。頭を下げた師匠には「やりきった」感があっただろうなぁと推測するんだけど、マネージャーから「まだ時間がある」の合図かなにかがあったらしく、え?とまた固まる師匠。
納得いかない様子で高座を降りて行った…と思ったら、袖でマネージャーと喋ってまた戻りかけ…また袖へ下がって行って「仲入り」へ。
仲入りがあるってことは後半もあるってこと?!でももう時間はぎりぎりなのでは?
じゃ出てきて挨拶だけして幕を下ろすのかな?と仲入りの間もわくわく!
 
小三治師匠「小言念仏」
「時間がないって言うからやったのに、やり終わったら今度は時間がまだ少しあるって言うんですよ」小三治師匠。
少し時間が早くたっていいじゃねぇか。長くやる時もあるんだから。
そう言ったら「でも二席やらないと独演会とは言えません」、そう言いやがるんですよ。
そうなんですか?一席で終わったこと何度もあるよ。
全くもう…それというのも、三之助が18分で下りてくるから…。
 
…それを聞いて客席全員が思ったこと。
「三之助さんはたったの2分。師匠は何分まくらをやってたんだい…?」。
いやぁもうおかしいおかしい。おかしすぎるよ。
そして宗旨の話をあれこれして、「小言念仏」。
時間が足りなくなってもう一席となったら「小言念仏」って言うのは結構あるけど、この日はさらに自由度が増していて。
念仏を唱えながら袖に向かって「お前…時間になったらまたその大きな声で言えよ!」。
しばらくして念仏を唱えながら「気が合わねぇ。あのマネージャーとは気が合わねぇ」。
さらに小言を探しながら…「…こんなことでいいのかな」。

そして赤ん坊が這い出してきてそれを目で追ってると袖から「師匠!」の声。

すると「お前ねぇ…赤ん坊が這い出し来たんだよ!そこで知らんぷりできるかよ!」
にこっと笑って「ばぁ!!」とやって「…小言念仏でした」。
 
…ぶわはははは。もう最高におかしかったー。
全部が落語、みたいな独演会。しかも小三治師匠は笑わせるつもりなんかこれっぽっちもない。ほんとに人間の魅力がそのまま落語の魅力、会の魅力になってる。
大好きだ。