りつこの読書と落語メモ

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走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)

 

走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)

走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)

 

 ★★★★★

臨月の母を捨て出奔した父は、
私の想像の中でひた走る。
今まさに福岡を過ぎ、ボルネオ島を経て、
スフィンクスの左足の甲を回り、
エンパイア・ステート・ビルに立ち寄り、
グアダラマ山脈を越えて、父は走る。
蛍光ピンクのハーフパンツをはいて、
やせ細った毛深い脚で――。

若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。
韓国日報文学賞を歴代最年少で受賞した表題作や、
第1回大山大学文学賞を受賞した「ノックしない家」など
9編を収載したデビュー作、待望の邦訳。

★ 1980年生まれの著者が若くして文壇を席巻し、同世代から圧倒的な共感を得たデビュー短編集。本国では累計8万部を記録。
★「この本は、こわばった表情で私があなたに送る、最初の微笑みです」――キム・エラン

 

 続けざまに韓国の女性作家の短編集を読んで正直誰が誰だかごちゃごちゃになってしまっているのだが、テーマや物語の背景は似ていてもテイストはそれぞれ違う。

表題作は「逃げるオヤジ」を描いているが、深刻な状況なのにユーモラスに描かれていてそれが面白悲しい。日本語タイトルが絶妙。「オヤジ殿」って素晴らしいセンスだ。

読んでる最中に下北沢B&Bの斎藤真理子さんのトークショーに行き、翻訳された古川綾子さんのお話を伺えたのも嬉しかった。
この間読んだ「外は夏」が最新作で、こちらがデビュー作とのこと。「外は夏」はかなり深刻な喪失感が表に出た作品だったので作風がこんなにも変わったことにびっくり。

表題作と「ホッピング」「愛の挨拶」が特に好き。
重いテーマを少し離れたところからユーモアを交えて描くところが好みだった。