わたしの良い子
★★★★
出奔した妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。勉強が苦手で内にこもりがちな、決して“育てやすく”はない朔との生活の中で、椿は彼を無意識に他の子どもと比べていることに気づく。それは、大人としてやってもいいことなのだろうか―大人が言う「良い子」って、何?
主人公の椿がいい。
妹が置いて行った子ども・朔は育てやすいタイプの子どもではなくて、子育てについて…また自分のこれからの人生について、あれこれ悩んだり気にしたりもするけれど、芯がぶれないからきっと大きく誤ることはないんだろうな、と思う。
それに比べて妹の鈴菜の危うさといったら…。わからなくはないけどあまりに身勝手だしあまりにめちゃくちゃなんじゃないかい、と思う。
それでもお互いに好きで「こうなった」わけではない部分もあるわけで、朔を間に挟んでお互いに嫉妬したり無力感に襲われたりしながらも、ともに生きていくのだろう。
椿の恋人の屈託なさもいいし、職場の同僚との距離感も素敵だ。
あたたかな気持ちで読了。