りつこの読書と落語メモ

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猿の見る夢

 

猿の見る夢 (講談社文庫)

猿の見る夢 (講談社文庫)

 

 ★★★

現在の薄井の楽しみは、十年来の愛人しかなかった。それなのに逢い引きに急ぐところを会長に呼び止められ、社長のきなくさいセクハラ問題を耳打ちされる。家に帰れば、妻が占い師を知らぬ間に連れ込んでいる。女のマンションで機嫌をとって朝帰りすれば、妹から電話で母が亡くなったと知らされた。「なぜみんな俺を辛い立場に立たせる?」欲深い59歳の男はついにある一線を越えてしまう。もっとも過激な「定年小説」! 

主人公の薄井は100人女性がいたら99人が嫌悪感を抱くタイプの男。
小心者であらゆることから逃げてまわりケチでセコくて女に弱い。本人はうまく立ち回っているつもりだけど周りからは見透かされている。
愛人に送る甘ったれた文体のメールの気持ち悪いこと!

出てくる女たちの毒気もたっぷりで、頭がファンタジーな薄井が女たちの間を自分に都合のいい夢を抱きながら右往左往するのが面白いような哀れなような。

長男の自分が喪主をつとめないとかっこがつかないからと長年介護をしてきた妹夫婦を無理やり説き伏せて喪主を務め…葬儀会社や会場は会社に手配させて、お金はしっかり折半。
なんかそうまでして守りたかった体面ってなんだったんだろうな、と思う。
葬式に愛人が来てみんなにバレバレだったことの方がよっぽど恥ずかしいのに…それはそれ、なんだな。

占い師長峰の食えない感じにもなんともいえない不快感が募る。

それでも面白くてページをめくる手が止められず1日で読んじゃった。

露悪小説って感じだけどラストの余韻は好きだな。