りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場8月下席夜の部(8日目)

8/28(水)、鈴本演芸場8月下席夜の部(8日目)に行ってきた。


・小はだ「二人旅」
・小んぶ「強情灸」
・アサダ二世 マジック
・玉の輔「宗論」
・喬之助「寄合酒」
・正楽 紙切り
・琴調「鋳掛松」
・菊之丞「幇間腹
~仲入り~
・ニックス 漫才
・扇遊「浮世床(夢)」
翁家社中 太神楽
・さん助「不動坊」


琴調先生「鋳掛松」
わーい、また聞いたことがない話だ。嬉しい~。
鋳掛屋の息子・松五郎。12歳の時に呉服屋に奉公に出る。ある日、使いに出た時に泥棒に脅されるが機転を利かせて泥棒を手玉にとる。それを知った店の主人、褒めるどころか「この子は頭が良すぎるからいつか店を滅ぼすことになるかもしれない」と言って松五郎に暇を出す。
そんな理由で暇を出されるとは…これも鋳掛屋の倅だからだ…と父親は嘆くが、松五郎は自分は鋳掛屋を継ぐから教えてくれ、と言う。
父が亡くなったある日、両国橋で枝豆売りの母子に出会い…。

同じ人間でも金を持ってる人間と金のない人間がいて雲泥の差があるというのを目の当たりにした松五郎が「だったら俺も太く短く生きようじゃねぇか」と考えるところは、確かに呉服屋の主人の見立てもあながち間違ってはいなかったのかもしれない、と思わせる。
悪の道もかっこよく描くところが講談の魅力だなぁ。


菊之丞師匠「幇間腹
この芝居、菊之丞師匠の高座がほんとに素敵で。
さん助ファンにマニアックな香りを感じるせいなのか?普段聞けないような話をまくらでしてくれたり、さん助師匠の落語と対極にあるような音楽的なノリのいい落語を披露してくれるのが毎回楽しみで楽しみで。
ほんとに顔付け最高だな~。鈴本演芸場よ、ありがとう。

幇間腹」も一八の調子の良さがたまらなくおかしい。
しなやかなんだなぁ。だからもう見ているとウキウキお腹の底から楽しくなってくる。
うーん、丞様素敵。

 

扇遊師匠「浮世床(夢)」
女にもてた話を気取ってするはんちゃんとそれに食いつく若い連中のワイワイガヤガヤ。
楽しいなぁ。浮世床の夢がこんなに楽しいか。扇遊師匠がこの位置で出てるってすごい贅沢!
すごくいい感じにあったまるんだよなー。


さん助師匠「不動坊」
さん助師匠の「不動坊」の面白さったらない。
大家さんにおたきさんとの結婚を勧められた吉さんが「おたきさんはあたしの女房なんです」と言って「ください!ください!」と迫ると、大家さんが「お前さん、気持ち悪いよ」と言うのがめちゃくちゃおかしい。
自分で気持ち悪いってわかってるんだ?(笑)

風呂屋さんでの浮かれっぷりも楽しいんだけど、なんといっても元前座のおじいさん。これがもうたまらない。
稽古の時のド迫力。これがまた気持ち悪い(笑)。
そして本番になったときの…。

もうほんとにおかしくておかしくて爆笑の連続でこういう「不動坊」は他の噺家さんでは見られないなぁと思うと、私はほんとにさん助師匠の落語が好きだなぁと思う。
好きじゃない噺なのにこんなに面白いってすごい。

あーーさん助師匠のトリも残すところあと2日。
あと2日で終わってしまうのがとても寂しい。でもあと10日続いたらお金も体力も持たない(笑)。

そして昨日はついに正楽師匠に「さん助師匠」を切っていただけた。
というより自分で声をかけたのに声が届かずぐずぐずしていたら私の前に座っていた方が私の代わりに声をかけてくださって「はい」と手渡してくれたのだ。うううううー。こんなことってあるかな。ほんとに人の情けが身に沁みた…。
そして切りながら正楽師匠が「さん助さんね…動きのある落語。動くね。なんであんなに動くかね」とか「有望な若手」とか「意外に若い。年寄りに見えるけど意外にね…あはははは…若いんですよね」とかおっしゃるのがまた嬉しくて。
家宝や!

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